*『市民映画館をつくる会』は『コミニティシネマ長岡』となりました。
事務局は雑本堂古書店 電話0258-37-3512になります。
以下、当会の上映活動を記録します。
ありがとうございました。

1990
7、14 フィールド・オブ・ドリームス
10、9 ローマの休日
11、17 天国と地獄
12、15 ステラ、ニュー・シネマ・パラダイス
1991
2、9 恋人たちの予感
3、16 明日に向かって撃て!
4、13 ハリウッドに口づけ
6、22 インディ・ジョーンズ 最後の聖戦
7、11 サラーム・ボンベイ
8、17 男はつらいよ
男はつらいよ 寅次郎相合傘
9、28 おもひでぽろぽろ
11、22 カサブランカ
1992
2、14.15 麗しのサブリナ,ティファニーで朝食を
3、28 八月の狂詩曲,息子
5、23~5、30
ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間
6、28 遠き落日
7、26 紅の豚
7、28 遠き落日
8、28 リトルマンテイト
1993
2、12.13 ドラキュラ
4、16 美女と野獣
5、27 夢の女
5、29 マルコムX
6、11 おしゃれ泥棒
6、18 マイ・フェア・レディ
6、25 ローマの休日
8、20 月光の夏
1994
3、21 月はどっちに出ている
4、30 ぼのぼの
7、23 ピアノ・レッスン
9、24 さらば、わが愛 覇王別姫
12、4 ギルバート・ブレイク
1995
2、10 河童
3、27 スワン・プリンセス
3、30~3、31
長岡アジア・プレ映画祭
http://tsukurukai.blog103.fc2.com/blog-entry-92.html
12、16 音のない世界で
1996
6、8 太陽がいっぱい
7、18~7、21
第1回長岡アジア映画祭 アジアがつながる日
http://www.mynet.ne.jp/~asia/1st.html
9、14 哀愁
11、9 慕情
12、14 誰がために鐘は鳴る
1997
2、2 昼下がりの情事,すみつぐのつぐ
3、30 絵の中のぼくの村,5等になりたい
4、26 嵐が丘
5、24 シェルプールの雨傘
6、7 宮本武蔵 一乗寺の決闘
7、6 八日目
9、5~9、7
第2回長岡アジア映画祭 アジア、つながる。
http://www.mynet.ne.jp/~asia/2nd/2nd.html
11、20 ひまわり
12、12 レオン完全版
1998
3、14 東京日和
6、27 ブラス!
9,4~9,6
第3回長岡アジア映画祭 ~アジアからのラヴソング
http://www.mynet.ne.jp/~asia/3rd/3rd.html
11、28 ビヨンド・サイレンス
12、10 風の歌が聴きたい
1999
10、1 ちぎれ雲
7、22~7、25
第4回長岡アジア映画祭 アジア・ゴーゴー
http://www.mynet.ne.jp/~asia/4th/4th.html
12、23 白痴
2000
3、8 バッファロー66
3、25 シュリ
7、15 ブエナビスタソシアルクラブ
9、7~9、10
第5回長岡アジア映画祭 CONTACT WITH ASIA
http://www.mynet.ne.jp/~asia/5th/5th.html
2001
4、14 キャラバン
7、8 あの頃、ペニーレインと
8、30~9,2
第6回長岡アジア映画祭 RUSING ASIA
http://www.mynet.ne.jp/~asia/6th/6th_top.html
2002
2、10 GO
4、13 山の郵便配達
7、14 アメリ
9、5~9、8
第7回長岡アジア映画祭 -世界が変わった日の後で-
http://www.mynet.ne.jp/~asia/7th/7th.html
2003
1、25 ピンポン
3、23 なごり雪
5、17 猟奇的な彼女
7、5 折り梅
9、10~9,15
第8回長岡アジア映画祭 -君を待つ家へ The way home-
http://www.mynet.ne.jp/~asia/8th/8th.html
12、5 北京ヴァイオリン
2004
3、14 アイデン&ティティ
5、29 ジョゼと虎と魚たち
7、25 ロスト・イン・トランスレーション
9、21~9、26
第9回長岡アジア映画祭 -アジアなしでは愛してゆけない-
http://www.mynet.ne.jp/~asia/9th/9th.html
2005
3、12 スウィング・ガールズ
5、22 モーターサイクル・ダイアリーズ
7、16 コーラス
9、19~9,25
第10回長岡アジア映画祭 -そして、この大地とともに-
http://www.mynet.ne.jp/~asia/10th/10th.html
2006
3、18 サヨナラCOLOR
5、20 カーテンコール
7、10 クラッシュ
9、17~9、24
第11回長岡アジア映画祭 -アジアの仲間として。-
http://www.mynet.ne.jp/~asia/11th/11th.html
2007
3、17 筆子、その愛
5、26 ダーウィンの悪夢,9/10(ジュウブンノキュウ)
7、21 黄色い涙
9、17~9、24
第12回長岡アジア映画祭 ―長岡⇔アジア 送信着信―
http://www.mynet.ne.jp/~asia/12th/12th.html
2008
3、15 殯の森
5、18 いのちの食べかた
6、1 ひめゆり
8、9 4ヶ月、3週と2日
9、15~9、21
第13回長岡アジア映画祭 ~すべてはマスィールの名のもとに~
http://www.mynet.ne.jp/~asia/12th/12th.html
11、8 ひめゆり
2009
3、15 その日のまえに
5、17 チョコラ!
5、24 ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
9、15~9、21
第14回長岡アジア映画祭 いのちを映す日々
http://www.mynet.ne.jp/~asia/14th/14th%20Fwstivalpdf/14thFestival.pdf
震災フェニックス×長岡アジア映画祭
11、29 花の生涯 梅蘭芳
2010
4、3 ディア・ドクター
8、7 ハート・ロッカー
9、6~9、12
第15回長岡アジア映画祭 ココロ、こころ、心に届け
http://www.mynet.ne.jp/~asia/15thFestival.pdf
2011
4、17 ふたり、なごり雪
9、13~9、19
第16回長岡アジア映画祭 未来に誓う踏み出す一歩
http://www.mynet.ne.jp/~asia/16thNagaokaAsianFilm.pdf
2012
2、12~19 冬のアルパカ 撮影
6、19、23 内部被ばくを生き抜く
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2012.06.26
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*S東京特派員の映画祭巡礼記。
今回は仁後亜由美さん特集と化した“ショートショート・フィルムフェスティバル&アジア2012”です。
http://www.shortshorts.org/
仁後さん最新作「冬のアルパカ」も上映される「原田裕司特集上映 feat. ニゴリン」は
6月30日より東京・下北沢のトリウッドで7月13日まで公開されます。
http://homepage1.nifty.com/tollywood/
初日の6月30日は16時~、20時~両方の回ともに
上映後に監督、キャストの舞台挨拶がある他、
この日にお越しいただいたお客様に長岡造形大生が撮影・編集・制作した
「冬のアルパカ」メイキングDVDがプレゼントされるそうです。
二ゴリンさんとS東京特派員
ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2012に行ってきました。
短編映画の映画祭としては日本最大の規模の映画祭でしょう。コンペ部門の最優秀作品はアメリカのアカデミー賞のノミネート候補作になるということですからすごいものです。今年は4543本の作品が集まり、選考で選ばれた79本の作品が上映されました。
今回注目したのは去年の長岡アジア映画祭のインディーズムービーコンペティションでグランプリを受賞した「壁女」の主演、同じ原田裕司監督で長岡ロケの「冬のアルパカ」でも主演を勤めた仁後亜由美さん主演の「カリカゾク」(塩出太志監督)。
「壁女」ではOLだった仁後さん、今回は高校生役!クラスメートに名前も覚えてもらえないような地味なおとなしい女の子が自分のことしか考えてない両親についにブチきれてある行動に…というストーリーで、ダメな大人たちに対して主人公の正常さが描かれる前半、まともゆえに突飛な行動に出てしまう後半をそれぞれ納得させる仁後さんの演技はぜひ見ていただきたいものです。
短編映画5~6本を1つのプログラムにして上映するやり方で、「カリカゾク」もほかに2本の日本人監督の作品と韓国映画、イラン映画が1本ずつという組み合わせで上映されました。
あまり起承転結にこだわらないスケッチ風の作品が多いのが日本の作品の特徴だとすると、きっちりしたストーリーが海外の作品だといえましょうか、今回見た韓国とイランの作品はどちらも見ごたえがありました。
「隠された真実」(韓国 キム・ソギョン監督)これは傑作でした。これが実際にあった事件を元にしているというのもショッキングですが、ヒロインの心理、行動が過不足なく書き込まれこれで23分しかないのが信じられないくらいでした。意外なオチがあり、余韻を残すエンディングと短編映画のお手本のような映画。ヒロインがどんな人物なのか、ラストのほうである人物の口から語られて、それでヒロインがとった行動の理由が観客にもわかるのですが、これがまた皮肉な効果をあげていてよかったです。
「道の途中で」(イラン Vahid Hajilooi監督)雪で通行禁止の山道を進んだばかりに立ち往生するタクシーの運転手と客。聖職者用の祭壇を届けるためにムリをしたのが発端で、信仰心が客観的な事実を無視し、破滅をもたらすという寓意がずばり、込められているように感じました。
短編映画は長編映画とはちがった魅力があり、長編映画の短縮版でもなければ長編映画の一部分を取り出したものでもない独自のジャンルですがそういった認知がいままで一般に広く理解されていない状況があり、それを打ち破るのがこのショートショート フィルムフェスティバルではないかと思います。厳選されたコンペ作品、すでに多くの映画祭で上映された招待作品など良質の作品が上映される機会なのでぜひ多くの方に見てもらいたいと思います。特に映画好きでも短編映画を見たことがないなんて人はぜひ!短編映画見ないなんてもったいないですよ。

右から岡村悠太監督、古田ひろひこ監督、キム・ソギョン監督、塩出太志監督
2012.06.22
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S東京特派員の映画祭巡礼記。
今回は「Singtokシンガポール映画祭2012」です。
http://www.sintok.org/
S特派員、いつもありがとうございます。

ウェズリー・レオン・アローズ監督(左)とシンガポール国立博物館シネマテーク・キュレーターのチャン・ウェンジュさん(右)
Singtokシンガポール映画祭2012にいってきました。
09年の第一回に続いて今回が第二回。作品数も前回が長編7本、短編集2プログラムから、長編10本、中短編集5プログラムをボリュームアップしています。今回は「881 歌え!パパイヤ」が日本で公開されているロイストン・タン監督の全長編上映という特集があり、監督と出演者のリュウ・リンリンさんもゲストで来日。他にもシンガポール国立博物館シネマテークのキュレイター、ザン・ウェンジェさん、ウェズリー・レオン監督のトークショーがあり、シンガポール映画の現状について、映画と合わせて立体的に感じられて大変よかったと思います。
シンガポールの歴史と現在の制度上での不満(特に検閲)が主題になっている映画が多いように感じました。
「881 歌え!パパイヤ」は7月に死者を迎えるゲータイの歌手が主人公でしたし、「12Lotus」は福建語の歌謡曲をバックに、ひどい父親と不実な男によって翻弄される女性歌手の人生を描くメロドラマ。「素晴らしき大世界」(ケルビン・トン監督)は40年代から70年代までシンガポールにあったアミューズメントパーク「大世界」を舞台に各年代のエピソードが綴られるオムニバス。シンガポール独立をからめたラブストーリーと日本軍侵攻の夜を描いたエピソードが忘れがたいです。
日本の占領時代を題材にしたのが短編の「シンガポール・モノガタリ」(ハフィズ・セノール監督)。祖父から聞いた話が字幕で表示される当時のスチール写真と現在のモノクロ画面で構成されたサイレント映画。「イギリス人もひどかったが日本人はもっとひどかった」と語る生々しい証言がでてきたりします(ちなみに原題もSingaporu Monogatari)。
しかし現在のシンガポール人は日本人にあまり悪いイメージはないといいます。というのも歴史教育が受験に関係ないせいもあってあまり重視されず小中で歴史の授業があるのが中2の一年間のみ。第二次大戦については1ページしかないとか。
まず65年にマレーシアから分離独立、建国50年にまだ満たない若い国であり、国土も狭いため古いものはどんどん壊して新しいものに変わっていくため、伝統が育ってない。また多民族をまとめるためかかなり規律が厳しい。こういった問題点を指摘する作品も多くありました。「インヴィジブル・シティ」(タン・ピンピン監督)はシンガポールの過去を掘り起こす人々を追ったドキュメンタリー。その中のエピソードで50年代の学生運動が取り上げられていて、「インヴィジブル・シティ」の後に上映されたクロージング作品「sandcastle」(ブー・ジュンフォン監督)ではまさにその学生運動が主人公の少年の父親が関わっていたという風に上映作品がリンクするようにプログラムされていたのもよかったと思います。
シンガポールの歴史と共にクローズアップされていると思えるのがシンガポールの現在、いたるところにある行き過ぎとも思える規制、映画にも検閲があり、表現の自由を疎外している問題があります。
ロイストン・タン監督の初長編作品「15:The Movie」を検閲で27箇所カットさせられました(今回上映されたフィルムはカットされた箇所を再度つなぎ合わせたフィルムを使用したもので、つなぎ合わせた箇所がわかる貴重なものだったそうです)。
その検閲を皮肉った「CUT」という短編コメディも上映されました(爆笑しました)。
基準がはっきりしてないのも検閲の問題点で、たとえば、ロイストン・タン監督の短編「リトルノート」は父親がなくなった後、母親が苦労して一人息子を育てて、息子が留学で母の元を離れるまでを描いた感動的なストーリーですが、これが検閲で上映禁止になりかけた。理由は「この母子は仲がよすぎる」。監督は「検閲官はわれわれより知性が豊かなのでこちらが考えもしなかったことがわかるようだ」と話してましたが、なんともひどい話です。
「青い館」(グレン・ゴーイ監督)も女性のオールヌードのシーンがあるので上映が難しかったようです。大富豪の死をめぐるミステリー仕立てのストーリーで、大家族の秘密が徐々に明らかになっていく展開が面白いし、背景としてシンガポールの抱える問題が浮きあがってくるのも興味深く見れました。
「海南、潮州と白いブラ」(ハン・ユークアン監督)はジェンダーを扱った作品。心は女性の男と、心は男なんだけど女性という二人がひょんなことで同居することに。最初はケンカばかりだったのがやがて打ち解けてきて、お互い憎からず思えてきたところに女性の元恋人が転がり込む。もう若くはないトランスジェンダーたちの恋というよりパートナーが欲しいという願望を描いた作品。切実なテーマをユーモラスに描いています。ジェンダーをテーマにした作品は深刻な内容であることも多いですが深刻な分、それを笑い飛ばすようなユーモアがある作品が多いような気がします。
「アーミー・デイズ」は徴兵制度があるシンガポールならではの軍隊を舞台にした映画ですが、徴兵訓練でやってきた新人の若者たちのお気楽軍隊ライフを描くコメディで、台湾、韓国の悲惨な徴兵もの映画ばかりを見てきたのでなんというか非常に新鮮でした。この映画だけはちょっと古くて1996年の作品。でも短編「ブランク・ラウンズ」(グリーン・ツェン監督)では部隊でのいじめで精神に変調をきたす新兵が描かれていて徴兵に対していろんな見方をさせてくれます。
スカイプで参加のブー・ジュンフォン監督
「Sandcastle」(ブー・シュンフン監督)は90年代を舞台に、まさに徴兵がせまった少年が母子家庭に育って家族関係にぎくしゃくもしている不安定なところに、幼いときにマレーシアでなくなった父の学生時代の秘密を知るというストーリーで、少年の成長と家族史が国家の歴史の流れの中で語られるという点でホウ・シャオシェンの青春ものの流れに連なるように感じました。
シンガポール映画の良作を見つつ、シンガポール映画、さらにシンガポール自体に興味が持てる映画祭になっていて大変素晴らしかったと思います。映画祭スタッフのシンガポールとシンガポールに対する愛情の成果ではないでしょうか。こういった国別の映画祭、もっと増えると面白いのではないでしょうか。
2012.06.06
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「今からちょうど20年前の6月3日、今は無い新潟市公会堂で初上映されました」
長岡市立中央図書館『郷土映画まつり』にて「阿賀に生きる」「阿賀の記憶」が連続上映され、
併せて小林茂監督の舞台挨拶がありました。
「阿賀に生きる」上映前に話したのが冒頭の言葉で客席からどよめきが起こりました。
その後に小林監督は新作「風の波紋」を撮影中で今朝も松之山の撮影を終えて、
上映会に駆けつけたこと。
また「阿賀に生きる」は現在16mmのニュープリントを作成中でいづれも協力をお願いしてました。
そんな記念すべき日に上映された「阿賀に生きる」は老夫婦の夫婦漫才のような会話に
何度も客席から笑いが起こり、上映後は盛大な拍手が沸き起こりました。
ただし映画の中で土方唄を熱唱するお婆さんが若いころに鹿瀬ダムの建設に赴き、
そこで歌を覚えたそうですが、そのダムは当時東洋一のダムとして電力発電が開始されて
昭和電工が建ちやがて水銀などの廃棄物を阿賀野川に垂れ流して、
新潟水俣病が発症したことがわかるのですが、
奇しくも上映の合間に「内部被ばくを生き抜く」の予告編を流させていただけに、
原発を含めて現在と重なるものを感じてしまいました。
続いて「阿賀の記憶」の上映前にも小林監督は舞台挨拶に立ち、
「『阿賀に生きる』から10年を経て
改めて現場に入って『阿賀に生きる』とは何だったのか、
映画について考える映画でわからないのは当たり前という気持ちで観てほしい」と。
1時間弱の映画ですがこちらは前作にあった高揚感は失せており、
「不在の映画」と小林監督は後で話してましたが、
宴の後を追想する映画としてより心に染み入りました。
上映後には少し長めに小林監督はお話ししましたが、
撮影の途中に自身が脳梗塞で倒れたために
全てに新鮮な気持ちでキャメラを手にしまわしてること、
しきりと太陽を映したがってると話してたのが印象的でした。
そして映画の中に何度も登場する佐藤真監督に触れて、
これは「佐藤監督の不在」でもあり、
「映画の中に佐藤さん自身が入り込んだと思います」と。
最後の締めとしてこの映画の撮影後に起きた中越大地震、3,11に触れた後に
「私たちの生き方自身をこの映画が問うてる気がする」
二本の映画上映と共に小林監督のお話に耳を傾けることは貴重な機会でした。
2012.06.03
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「これが最後のインタビューという気構えでこちらに挑んでた」
以前、現在長岡を離れた支局長が取材した際のエピソード、
取材するこちらもその気迫を感じながらインタビューをしていた旨を話してました。
新藤兼人監督はおそらくどんな取材者に対しても
「これが最後」という気概で話していたのではないでしょうか。
一昨日のこのブログで触れてましたが当時91歳の新藤兼人監督が渋谷の街を歩く姿を目にしてました。
あれほどの巨匠が自身の足でおそらく渋谷駅目指して歩いてたことにまず畏敬の念を覚えてました。
若き日に何度も渋谷を歩いたことがあるでしょうが、
当時と激変し若者の代名詞となってる地をどのように思いながら巨匠は歩いてるのかと。
独立プロの先駆けとして日本映画界に与えた大きな功績はこちらが触れるにはおこがましいですが、
インディーズの映画作家の反面、売れっ子の脚本家として大手の映画会社から
沢山受注して大忙しだったエピソードなどは評伝等で知り、
そのころに撮られた日活映画で中平康監督作「その壁を砕け」は
「第13回長岡アジア映画祭」でも上映しました。
長岡ロケもある本作で新藤監督は脚本を担当、
おそらく多忙な中で長岡までロケハンに来たのか定かではありませんが、
1959年公開という本作でモノクロに映る柿川と信越本線が交差する風景、
それに今とまるで違う長岡駅前は貴重に映りました。
さらに“冤罪”という社会派なテーマも新藤監督らしいですが、
決して重苦しい映画でなくエンターテイメントとして大変見応えがありました。
そして映画で反核・反戦を最後まで貫いたことも素晴らしく、
奇しくも反核の映画作家であり、自主上映活動に重きをおくなどは新藤監督と共通点もある
鎌仲ひとみ監督は同じ賞を受賞していました。
http://kamanakahitomi.blogspot.jp/2012/04/blog-post_08.html
そんな意味でこじつけですが「内部被ばくを生き抜く」上映会に価値を見出そうと思ってます。
晩年のインタビューで「ヒロシマ」という原爆投下をCGで駆使して描く構想、
残念ながら莫大な製作費がかかるので目途が立てないと読んだ覚えがあり、
実現できなかったのは甚だ残念に思いますが、
遺作「一枚のハガキ」のラストシーン、丹念に麦畑が実っていく描写に
日本再生の意図と願いが込められてると感じ、あの境地に達したのは何よりも素晴らしく思いました。
さらにこれは余談なのですが今冬「冬のアルパカ」を撮影した際、
山古志の合宿所にスタッフ、キャストが寝泊まりして
同じ釜の飯を食べ映画つくりに励んでたことを
密かに“新藤兼人監督方式”などと呼んでました。
さすがに若い原田組の皆さんにはそんなことは言ってませんでしたが、
元祖インディーズとして合宿しながら映画つくりに勤しむ新藤監督の志にほんの少しでもあやかりたいと。
最も新藤組は自ら合宿所を組み立てることから始めてたようですが。
そんな意味でこの度の訃報を知り改めて多大な業績に敬意を表します。
2012.05.31
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