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伊参にて

伊参
あの木造校舎を目にするだけでなぜかホッとする映画祭、伊参スタジオ映画祭に足を運んできました。
体育館に設けられ満席で補助席を出すほど熱気あふれた会場で観賞した作品はどれも映画祭のある中之条町で撮影された3本。

「金糸雀は唄を忘れた」
今年の長岡インディーズムービーコンペティション準グランプリ「博士の部屋」の赤羽健太郎監督最新作にて昨年の伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞短編部門受賞作。この映画がお目当てでした。
自殺サイトで知り合った若い女性と老人。二人は死に場所を求めて深い森の中へ。
この時代にあえて死と向き合うことは観る者に生き方を問う相当な決意の表れと思うのですが、女性がつねに片足を引きづる姿に安易な共感を拒絶することが伺われて、観る者の人生観に託すようなラストを前に本作を噛み砕くことが今も出来ずにいます。
いわば消費される作品でなく、脳裏に刻まれる作品ではと。
舞台挨拶に立った赤羽監督の誇らしい姿は選ばれた者でしか放つことができるまぶしいオーラに包まれてました。完成と上映おめでとうございます!

「求愛」
こちらは金井純一監督の昨年のシナリオ大賞中編部門受賞作の映画化。
婚約者とその妹の近親相姦的な愛情を前にしたヒロインの愛憎ドラマで先の読めないスリリングなストーリー展開に引き込まれました。
俳優達はそれぞれのキャラクターを見事に肉付けし、三者三様の心理が巧みに表現されてこの監督の力量が伺われました。
こちらは悲鳴のように聞こえるラストのクラクションが耳に焼き付いています。
シンプルだけど重い題名もこの作品でいえば最もふさわしいことに納得してました。

「UFO食堂」
山口智監督の文化庁委託事業という「若手映画作家育成プロジェクト」の1本。
UFOが頻繁に目撃される田舎の食堂、店を手伝う少女の前に男と駆け落ちした母親が戻ってくる。
のんきなホラ話なものの進路と家族の問題に向き合う健気で勝気なヒロインを応援したくなる小品でした。
何よりもこの少女を演じた初めて目にする高山侑子という女優さんが強く印象に残り、上映後に彼女からのビデオレターと主演した新作の予告編が流れましたがこれが角川映画の大作「空へ~救いの翼~」。
今後の日本映画を背負って立つ新星のようで、それ以上に後で調べたら出身は新潟県とのこと。親近感を覚えて注目していきたいと思いました。
彼女が大ブレイクしたとしてこの「UFO食堂」を観ると観ないとでは思い入れも違う筈なのでこういう映画に触れる喜びも映画祭の喜びだと。
撮影は「モノクロームの少女」の芦澤明子カメラマンでした。

映画の観賞前には今年のシナリオ大賞受賞作の発表があり、杉田愉監督「貝ノ耳」に主演した坂井昌三先生も審査員として講評を述べてました。
今年の受賞作は
短編の部が上原三由樹さんの「ひょうたんから粉」
中編の部が石田摩耶子さんの「ヤング通りの住人たち」
いづれも来年のこの映画祭の発表に向けてこれから映画化をスタートする筈です。
しかし杉田監督や赤羽監督から聞きかじった程度ですが、映画制作は本当に大変なようなのでそれを乗り越えて来年のこの舞台で発表されることを期待します。これがあるから次回もこの映画祭に足を運びたくなるのではと。

ちなみに近隣の温泉に浸かってから会場入りし、お昼はけんちん汁うどん200円(!)、替え玉は100円を食べてお腹を満たした他、あの木造校舎の廊下には「第13回長岡アジア映画祭」のポスターが掲示されてました。
~山の中の小さくて大きい映画祭~がキャッチフレーズですがそれに加えてスタッフの皆さんの“温かさ”にも触れられる映画祭だと思います。
今年も成功、おめでとうございますとありがとうございました!

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2008.11.26 | Trackback(0) | 当会の活動報告

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