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東京特派員のフィルメックスレポート2

フィルメックス二

東京特派員より再びフィルメックスの報告が届きましたのでご紹介します。
会場では審査員で白髪のレオン・カーフェイを目撃して興奮したそうです。

「クラウド9」ドイツ映画。アンドレアス・ドレーセン監督作品。
主人公は60代の女性。夫もいるし孫もいる彼女が他の男性と恋に落ちます。よくある不倫もののパターンですが老人たちだということが他と違うところ。
正直言って美しいとは言えない主人公(「モンスター」のシャーリーズ・セロンに似ている)がだんだん輝いていくのが凄いです。
また恋愛描写だけでなく夫や恋人とのかなりリアルなセックスシーンもある老人の性の問題も盛り込まれています。
老人たちが主人公ではありますが恋愛でイキイキとする主人公に合わせるかのように軽やかに動くカメラでもっていささかも重苦しくない画面も魅力的な作品です(デジタル撮影)。

「夜と昼」韓国映画。ホン・サンス監督作品。
主人公の画家の男はほんの出来心から友人とマリファナを吸い、その友人が逮捕されたことで自分も逮捕されるのではとうろたえ、奥さんを残して慌ててフランスに出発します。
ホン・サンスの主人公らしい浅はかな男です。韓国に帰りたいけど逮捕が怖くて帰ることができない男は何もすることもなくパリの韓国人たちの間でムダに時間を食いつぶします。
そんな彼の前に現れた若い女。またまた例によって男の一方的に恋愛が始まります。
今回の主人公は既婚者というのが今までとは違う点でしょうか?
そのせいかいつもとは展開が違いました。
今回のヒロインはパク・ウネ。あまり美人ではないのでTVドラマでもサブヒロインの位置が多い人ですがこの映画ではかなり魅力的(同性からは嫌われてるというのがなんとなくおかしい)。
また「映画館の恋」あたりから目立ってきて「浜辺の女」で素晴らしい効果をあげていたズームアップですが、この作品ではまた違った使われ方をしていて要注目です。

「木のない山」韓国・アメリカ作品。監督は少女時代に家族でアメリカに移住したソヨン・キム。
監督第2作です。自分が生まれた町を舞台に使っています。
主人公は2人の幼い姉妹。父親は家出をして母親がひとりで育てていましたが若い母親は2人が重荷になり田舎に住む叔母に2人を預けます。
2人の唯一の希望は母親がいっぱいになったら迎えに来るといって持たせた貯金箱でした。
早く母親に会いたい一心でお金を貯める姉妹。
親戚をたらい回しにされる幼い子供たちを描きながらしかし映画は決してメロドラマにひたることなく親に見捨てられた姉妹のそれでも生きている日常を常識と節度を保って描きます。
フィルメックスで見て素晴らしいと思った作品は多いですがこれほど感動させられた作品は今のところないです。ぜひ一般公開してほしい作品です。
後半のほうで妹が読む物語がこの映画のモチーフなのかなと思ったのですが監督によれば妹役の子がたまたま持ってた本を使っただけだそうです。ちょっと拍子抜け。

「バシールとワルツを」イスラエル・フランス・ドイツ作品。アリ・フォルマン監督。
これは非常にユニークな手法で作られた作品。映画は現在から始まる。主人公の映画監督のアリはかつての戦友との再会で自分が兵士として派遣されたレバノンで起こった虐殺事件に立ち会っていながら全く記憶がないことがわかる。
なぜ記憶がないのか?一体その時自分は何をしたのか?何を見たのか?答えを知るためにアリは戦友や関係者を訪ねることを決意する。
ストーリーはざっとこんな感じですがユニークなのはこの作品がアニメーションだということ。
これは戦場での現実はただの実写で再現した映像では兵士の主観を表現しきれないからということと、人間の記憶は本人に都合よく書き換えられたりして実際とはかけ離れたものになってしまっていることがあり記憶が「作りもの」であることを表現しているようです。
主人公が当事者になるのはサブラ・シャティーラ虐殺事件。
82年パレスチナ難民キャンプを民兵が襲い2千人以上が殺された事件です。
主人公はイスラエル兵士で難民キャンプを取り囲んだイスラエル軍は民兵をとめることはしなかった。映画の難点としてはまずもってあまりにも機械的なキャラクターの動きと感情移入し辛いデザイン、コントラストが強いビジュアルデザインというなにより「視覚的につらい」ということ(ロトスコープは予算的にムリでアニメーションスタッフも10人ぐらいだったそうです)。
あとはストーリー上の問題で複数の人物のエピソードの積み重ねがあまり意図を感じさせず特に後半はかなり単調なこと。
そしてクライマックスの虐殺と主人公の結びつきが弱いことでしょうか。
とはいえ未だ謎が解明されないまま主人公のように当事者からも忘れ去られ(忘れたいから?)ようとしている事件に光を当てたことは様々な反響を呼んだようです。今後こういうスタイルの作品が出ることもないような気もするので見る価値はあると思います。

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2008.11.29 | Trackback(0) | 当会の活動報告

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