小林茂監督作「わたしの季節」の舞台となったびわこ学園生徒達の粘土細工を収めた本。
『粘土でにゃにゅにょ-土がいのちのかたまりになった!』
『ねんどになったにんげんたち』が出版されたのを機会に作品展、映画上映、講演、シンポジウムが開催され小林茂監督も参加します。
粘土の作品展とともにびわこ学園の創設者で「この子らを世の光に」と言葉を残した“福祉の父・糸賀一雄”の思想をひろく知ってもらう総括的な企画展です。
広がる宇宙「この子らを世の光に」
本になった にゃにゅにょ 記念作品展と講演
会場 新潟市総合福祉会館内
11月28日(土)~12月6日(日)
*びわこ学園粘土作品展 (入場無料)
12月5日(土) 糸賀一雄の日
10:00~12:00・粘土体験
13:30~15:30・映画「夜明け前の子どもたち」上映
15:50~17:00・高山清講演会「この子らを世の光に~糸賀一雄の魂と思想」
17:30~19:15・映画「わたしの季節」上映
12月6日(日) 出版記念とシンポジウム
13:00~14:30・第一部 対談『粘土でにゃにゅにょ』(岩波ジュニア新書)を出版して
田中敬三(著者・元びわこ学園粘土室担当)
大山美佐子(岩波書店編集者)
ミニワークショップ「にゃにゅにょと私」
ファシリテーター 市嶋彰(箸専門店店主・にゅにゅにょの会)
14:45~15:45・第二部 シンポジウム「にゃにゅにょの世界」から生まれるもの
小林茂(映画監督・にゃにゅにょの会)
坂本博史(びわこ学園粘土室担当)
鈴木善博(グラフィックデザイナー)
伊藤希代子(美術教師・にゃにゅにょの会)
籏野秀人(新潟水俣病安田患者の会事務局・にゃにゅにょの会)
・入場フリーパス(作品展は無料、粘土体験は別途料金)
一般前売 1000円(当日1200円) 障がい者(介助者)60歳以上800円 小中高生500円(いづれも前売・当日同額)幼児無料
・粘土体験500円(定員35名・要予約)
主催:にゃにゅにょの会
問い合わせ・粘土体験予約 09062284522(井上)
*柳澤寿男監督「夜明け前の子どもたち」(1968年)と小林茂監督「わたしの季節」(2004年)が上映されますが、どちらも『びわこ学園』が舞台です。
同じ日の上映はとても貴重な機会になります。
「夜明け前の子どもたち」
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2009.10.31
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昨日に続いて大桃美代子さんの話題が。
11月8日(日)新潟日報主催“日報大人の文化祭inメディアぷらっと”の大人のセミナー、
「大人の映画学」に大桃美代子さんがきます。
渡辺千雅長岡フィルムコミッション会長、BSNラジオパーソナリティーの大杉りささんとともに「モノクロームの少女」撮影時の話題が中心になるようです。
13時~14時 入場無料
会場 メディアぷらっと
開始30分前から1階総合受付にて整理券を配布。
先着50名だそうです。
お問い合わせ 新潟日報社長岡支社 TEL0258-34-9623
2009.10.30
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11月2日(月)22時よりNHK教育テレビの“趣味悠々”にて「筆で味わう雅の世界 小倉百人一首を書こう」という番組がスタートします。
http://www.nhk.or.jp/syumiyuuyuu/ogurahyakunin.html
出演者は大桃美代子さん、村野武範さんと「モノクロームの少女」の出演者が登場します。
ということで顔ぶれからわかるかと思いますが、この番組のディレクターは五藤利弘監督が務めます。
結構、長丁場の番組のようですが最後まで撮りきってほしいとこちらからもエールを。
2009.10.29
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会場のNHKみんなの広場ふれあいホールです。
引き続きNHKアジア・フィルム・フェスティバルの報告です。
ふだんは11月上旬開催のNHKアジア・フィルム・フェスティバルが今年は初日と2日目が東京国際映画祭と重なってしまったため初日には行けなかったのですが、東京国際の最終日はクロージングとグランプリ作の上映だけなのでNHKのほうに行ってきました。
会場はここ最近と同じくNHKみんなの広場ふれあいホールです。
すべての作品に監督や出演者がゲストで来て、上映終了後はロビーでサインや記念写真もOKという気さくな映画祭です。
今年の5作品のうち、「トゥルー・ヌーン」(タジキスタン)はみれませんでした。
「ピノイ・サンデー」監督 ウィ・デン・ホー(台湾・NHK・フィリピン・フランス)
今年のNHK共同制作作品です。
監督はマレーシア出身で現在は台北在住。これが長編第一作。
台北に住むフィリピンからの出稼ぎ労働者が主人公で台湾人は端役でしかでてこない異色の台湾映画。映画祭の数日前に完成したぴっかぴかの新作です。
主人公の2人の男はせっかくの日曜日なのになにもやることがない。
そんな彼らの目の前に捨てられたソファ。
これを寮の屋上に持っていけば仕事帰りにゆっくりとうまいビールが飲める。そう考えたふたりはソファを運び出す。それが長い長い日曜日の始まりだった。
男2人とソファの台北横断珍道中は出稼ぎのつらさがにじみ出ておかしくもかなしいものがありました。
タイトルのピノイ・サンデーはフィリピン人の日曜日の意。
監督によればフィリピン人のつらい境遇にあっても失われない楽観性を描きたかったとか。
そこらへんはラストに表れているような気がします。
でも故郷や家族に対する思いの強烈さも感じました。
それを紛らわす緊急避難のような人間関係も驚きつつ、なんとなく納得してしまいました。
「タハーン~ロバと少年~」監督 サントーシュ・シヴァン(インド)
インドのカシミール地方を舞台にした映画。軍隊とゲリラが対峙している地方で、少年を主人公に、こんな世界でいいのかと大人たちの責任を問う映画です。
この映画の中で、行方知れずの父親から贈られたロバを取り戻すためにゲリラに利用されるわけですが、特にゲリラが悪いと主張しているわけではないといいます。
父親の失踪も政府軍によるものという設定で、武力による対立そのものの非を訴えています。
またロバは頑固で叩かれたりしてもまったくそこから学ばない。
人間はロバよりは利口になろうというような意図もこめたそうです。
撮影されたカシミール地方の景観はすばらしく、まさに「厳しさの中に美しさはある(by木村大作)」。連日-15度の中での撮影は大変だったそうです。
「シャングリラ」監督 ティン・ナイチョン(中国)
監督は台湾の女優兼演出家。女性の新人監督10人に雲南を舞台にした作品を作ってもらう雲南プロジェクトの第三弾。
2007年に映画祭上映された「公園」と「スーツケース」に続く最新作です。
前の2作がとてもよかったので期待してたのですが、正直、うーんていう感じです。
ストーリーがかなり支離滅裂に感じました。
演劇のほうの演出家ということで、舞台だったらもしかしたらこういう幻想的な内容も成立したのかもしれませんが、ちょっと映画だと苦しい。
亡き子供を思う複雑な母親の心境などは意外性もあってよかった思うのですが。

「シャングリラ」のゲスト 主演のチュウ・チーインさん(右)とプロデューサーのローラさん。
「キャプテン アブ・ラーイド」監督 アミン・マタルカ(ヨルダン)
監督はアメリカで映画製作を志し、ヨルダンにとってはなんと50年ぶりになる映画を製作しました。
それが本作。2007年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭でも上映された作品です。
空港で清掃員として働く初老の男、アブ・ラーイドはある日ゴミ箱で拾ったパイロットの帽子をかぶったまま家に帰ったところそれを見た近所の子供たちから機長だと誤解されます。
機長ではないといっても子供たちは信用せず、アブ・ラーイドはしかたなく機長として振る舞います。
実は彼は妻を亡くして以来だれとも付き合わず自分の殻に閉じこもって生活していたのですが、このことにより徐々にまわりの世界と向き合うようになります。
子供たちもさまざまな問題を抱えています。親に働かされて学校にいけない子もいますが彼には問題を解決してやることができません。中でも深刻なのは父親から暴力を振るわれている子供です。彼はついにこの子供を救うためにある決心をします。
アブ・ラーイド役のナディム・サワルカが堂々としてすばらしいです。
2009.10.28
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今晩の上映企画室はクロアチアへ新婚旅行から帰国したメンバーのお土産、甘い甘いチョコレートに舌鼓を打ち未知なる国、クロアチアの話を聞きながら上映会の作業をしていました。
作業はポスターの下張り、チケット制作、伝票書き、封筒のあて名書き等など。
二、三日中に前売券を主要プレイガイドに配布したいと思っています。
お手伝いいただける方、随時募集しています。
2009.10.26
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「審査員、中野太さんだったんですって?」
シネ・ウインドの株主総会に出席しました。
出席者の皆様に「すくらんぶる61号」と「花の生涯」上映会のチラシを配布させていただきました。
滞りなく進行は進む中で、齋藤代表の「機材の発達でたくさんの映画が制作されているが公開が追い付かず、配給は今、整理をしている段階」
という話は印象に残りました。
年間1000本、映画は製作されても公開される本数はその半分くらいでお蔵入りのままの作品が大変多いようです。
上映方式も35mmのフィルム上映からデジタル上映に徐々に移行しているようで、実際シネ・ウインドも今年はデジタル上映が増えたように思います。
総会は新しい支配人の挨拶で幕を閉じました。
毎年、この株主総会に参加するのは閉会後のお昼の中華ランチが楽しみなこと。
ここで新潟県内で映画に対して最も的確な目を持つ、それは審美眼と言ってもいいかもしれませんが、尊敬するKさんとの歓談が楽しみになっています。
Kさんはシネ・ウインドで日本映画の上映活動を中心に活躍をし、毎年「映画芸術」誌のベストテンにも参加、お話しをしていると映画への深い愛情が伝わりいつも敬服します。
今年は開口、冒頭の言葉から始まりました。
「第11回長岡インディーズムービーコンペティション」の審査員を引き受けていただいた脚本家の中野太さんの話題です。
Kさんは昨年のシネ・ウインドで坂本礼監督のオールナイト上映を企画。
その中で中野さん脚本の「薔薇」が上映されて来館し交流を深めたようです。
この「薔薇」は別名「や・り・まん」というピンク映画なのですが、中野さんの故郷、新潟市を舞台にして男女の性愛を見つめた坂本礼監督の、そして中野さんの代表作として名高いようです。
昨年の上映では残念ながら観れず、ぜひ観たいと思っていたところKさんは持参のバックから「誰とでもする男、誰とでも寝る女。」というDVDを取り出しました。
これが市販用のDVDとなった「薔薇」のタイトルだそうで、
「このタイトルではわからなかったけど、どうもそうらしいのでアマゾンで買っちゃいました」と笑いながら話していました。
ビックリし、ぜひ見たいので貸していただけないかお願いしたところ快諾していただき、手元にあります。ありがとうございます!
Kさんからは帰り際、中野さんに連絡する時はよろしくお伝えくださいと。
そしてもうひとつ、同じ円卓にはにいがた映画塾でも活動しているYさんからお話が。
このYさんは自主映画制作の傍ら、新潟県出身の映画人やロケ作品に造詣が深く、以前には「最後の恋、初めての恋」の当摩寿史監督が新潟県出身なこと、最近では長岡ロケ映画「故郷は緑なりき」という作品の存在を教えていただきました。
今回は三条高校の卒業生に“寺田信義”という脚本家がいたことを最近知ったそうです。
なんでも三条高校在籍中に映画研究会を立ち上げて、その後は上京し日活映画の脚本家として活躍をしていたそうです。
Yさん自身、三条高校のさらに映画研究会に所属していただけに、立ち上げたという先輩に強くシンパシーを覚えているようでした。
新潟県出身の映画人として知られてないようですが、フィルモグラフィを調べたら小林旭主演の「踏み外した春」、赤城圭一郎主演「素っ裸の年令」とどちらも初期の鈴木清順監督作を書いており、その中でも日本映画史に残る名作として名を残す、川島雄三監督の「洲崎パラダイス 赤信号」の脚本家としてクレジットされていたのは驚きました。
とはいうものの恥ずかしながらこの映画、未見なので今度DVDを探してみようと思います。
三条出身の映画人で最も著名なのは東宝美人女優の水野久美。
Yさんによれば水野久美が映画界入りする際には寺田信義のアドバイスがあったそうです。
これから想像するにこの脚本家から辿れば、新潟県の映画人の秘話がまだまだあるように思ったりしました。
Yさんのこれからの史話発掘に期待したいです。
と、今年も参加して大変楽しく収穫があり、ランチ後は出席者の大半がそのままシネ・ウインドで公開中の「美代子阿佐ヶ谷気分」に足を運んでたのはさすがだと思いました。
肝心のシネ・ウインドの今後のラインナップを見ると「ドキュメンタリー 頭脳警察」「パティ・スミス ドリーム・オブ・ライフ」「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」と音楽映画が目に着いたりしましたが、その中で「SR サイタマノラッパー」の公開が急遽決定したそうです。
12月26日よりだそうで、長岡で見逃した方はこの機会にぜひとも!
シネ・ウインド公式HP
http://www.wingz.co.jp/cinewind/
また「月刊ウインド」最新号に当映画祭のレポートが掲載されています。
書いていただきました方々にお礼を。
2009.10.25
| Trackback(0) | 当会ご案内
配給:アスミック・エース
当会次回上映会は11月28日(土)14時10分~ 長岡市立劇場にて
「花の生涯 梅蘭芳(メイ ファンラン)」を上映します。
監督 チェン・カイコー 出演 レオン・ライ、チャン・ツィイー
「さらば、わが愛 覇王別姫」に続いて中国の巨匠・陳凱歌(チェン・カイコー)が再び京劇を題材にした大河ドラマです。
実在した女形の大スター、梅蘭芳の波乱に富んだ人生を最高のキャストを結集して映画化。
日本からは安藤政信も出演、そして華麗極まりない京劇のシーンはスクリーンで観てこそ大きな価値があるとして上映を決めました。
また当会上映会でチェン・カイコーの映画上映は「さらば、わが愛 覇王別姫」「北京ヴァイオリン」に続いて三度目の上映となります。
早速来週月曜夜は当会事務所にて上映会の準備を致しますので、お時間のある方はぜひいらしてください。
上映会の詳細はまたこちらに掲載いたします。
「花の生涯-梅蘭芳(メイ ランファン)」
公式HP http://meilanfang.kadokawa-ent.jp/
2009.10.24
| Trackback(0) | 上映会
中越大震災から5年目。
先の当映画祭で上映しました「1000年の山古志」を観賞されたお客様の感想を抜粋してご紹介します。
やはり長岡での上映は大震災を身をもって体験した方々が当時を思い出しながら観賞していたことが感じられます。
そして制作した橋本監督はじめスタッフの皆さんへの感謝の言葉も印象に残ります。
「1000年の山古志」は2回上映しましたが、どちらも上映後に自然に大きな拍手が客席から沸き起こりました。

*長期に渡っての映像には感服しました。
たくましい人々の姿、明るい未来へ向けての姿、よかったです。
私自身も墓の修復など同じ思いもしましたので、とても引き込まれました。(70代・女性)
*たくさんの人にみてもらいたいです。
橋本監督に会えてよかったです。(70代・女性)
*音声など構成は常に良かった。有難うございました。(90代・男性)
*最初の地震の映像にこの地震のショックで5日後に亡くなった大好きだった妹を思い出して涙があふれてきた。
山古志の人々の生きるための力強さ、協力し合う姿に感動した。
素晴らしい映画をありがとうございました。(60代・女性)
*地震の日を想い出してしまいました。
改めて「大変だったな~」と思いました!アリガトウ!(60代・女性)
*人と自然の純粋さに、特に人の情けを強烈に感動致しました。(50代・男性)
*ふるさとを愛する心 私はとてもうらやましく感じました。
住民の方がみんないい顔、いい表情をしていました。
山古志大好き 応援していきたいです。(50代・女性)
*大変感動し涙が出ました。
どんな困難ものりこえ山古志に復帰された方々の力強い生き方としっかり大地に立って生きてゆく日常生活のドキュメントに勇気づけられました。
先回の「掘るまいか」の上映時も橋本監督の作品に感動し今回の作品とトークに更に深く心を打つものがありました。
橋本監督の益々のご活躍を祈っています。ありがとうございました。(70代・女性)
*山古志の住民ですが映画スタッフの皆様の山古志に寄りそう気持ちが映像にこめられているようで苦しい時も、悲しい時も、喜ばしい時も思い出させてくれる映画でした。
息の長い映画になってくれると思います。(50代・女性)
*2度目でしたが改めて地域性、被災者の表情をよくとらえてくださった作品だと思いました。
上映とても感謝しています。(50代・女性)
*この映画を作るには大変なご苦労があったと思います。
山古志の人達との人間的なつながり無くしては実現しなかったと思います。
監督はご自分は「根なし草」とおっしゃていましたが充分、「ふるさと」「根っこ」をお持ちだと思います。
それは形でなく、心、スピリッツだからです。
地域、コミニティを超える人間としての「心のふるさと」を私はこの映画に感じました。(40代・女性)
2009.10.23
| Trackback(0) | 長岡アジア映画祭


今年の『第11回長岡インディーズムービーコンペティション』で準グランプリを受賞した「ネコ魔女のキポラ」が大林宣彦監督が審査委員長を務める『ふかや・インディーズ・フィルム・フェスティバル2009』でも準グランプリを受賞したと藤原智樹監督から喜びの報告が届きました。
http://www.saitama-np.co.jp/news10/20/06l.html
藤原監督からは「今後とも頑張りますので、よろしくお願いいたします!」とまた謙虚なメッセージをいただきました。
「しあわせならたいどでしめそうよ」もそうですが、長岡で高い評価を受けた作品が他の映画祭でも賞を受賞したと知ると大変嬉しく張り合いができます。
藤原監督、本当におめでとうございます!
2009.10.22
| Trackback(0) | お知らせ
*S東京特派員の東京国際映画祭レポート前半戦。
「双旗鎮刀客」のハー・ピン監督の新作も時代劇のようで気になりますが、お久しぶり「メイド・イン・ホンコン」のフルーツ・チャン監督が健在のようです。「ドリアン・ドリアン」から大陸を過度に意識したように思いますが現在は大陸が拠点なのでしょうか。

東京国際映画祭に行ってきました。
あいかわらず作品数が多く、アジア映画を優先していても、それでも見たい映画が見れるわけではない状態です。
とりあえず前半見た映画の感想です。
「永遠の天」監督 リー・ファンファン(中国)
中国の杭州が舞台で、ひとりの少女の20年間を描いた作品。今20代の中国の若者が生きてきた90年代、2000年代をノスタルジックに描いています。
今は成功している若者たちにもこんな喪失のドラマがあり、人生の悲しみを耐えてきたと映画は語ります。
03年のSARSのときの状況がくわしく描かれたのもはじめてみました。
またレスリー・チャンの86年の曲「有誰共鳴」から始まり、93年の「覇王別妃」、03年の自殺まで、レスリー・チャンが言及され、原題の「天長地久」も「アンディ・ラウのスター伝説」の原題と一緒なのも香港映画の影響を感じます。
永遠の愛はあるのか?などというテーマも香港映画的。
そんな香港映画愛も感じられるところも面白かったです。
「麦田」監督 ハー・ピン(中国)
豪快なアクションで知られるハー・ピン監督ですが、中国の時代劇大作が大規模な戦闘シーンを売り物にする風潮に対して、戦争の残酷さ、人に与える心の傷、悲劇を描きたいとして撮られたのがこの作品。
舞台は趙のある地方。秦との戦争のため領主はこどもを残してすべての男子を兵として出陣。女たちだけになった町に秦の脱走兵が迷い込む。
敵国でなんとか助かろうと脱走兵がついたウソに惑わされる女たち。いつまでも帰ってこない男たちにおかしいとは思いながら脱走兵の言葉に希望も捨てきれない。
そんな女たちがたどる運命は…反戦メッセージが込められた寓話的時代劇。
劇中「七人の侍」「赤ひげ」といった黒澤映画オマージュも楽しいです。
「青い館」監督 グレン・ゴーイ(シンガポール)
この映画はとにかく予備知識がないほうがたのしめると思うので、ここではあえてなにもかかないことにします。
映画祭のHPも見ないほうがいいです。とりあえず一言、おすすめです。
監督は「フォーエバー・フィーバー」の人。ゲストで来てましたがなかなかのイケメン。ちょっとだけ出演もしてます。
前日予定していた俳優が出れなくなったためやむなく、とのことでしたがぴったりな感じでした。
Q&Aの後も劇場の外で出演のエマ・ヤングさんといつまでも観客のサインや記念写真に応じていていい人でした。
「風のささやき」監督 シャフラム・アリーディ(イラン)
フセイン政権下のイラク北部のクルド地域を舞台にして、ひとりの老人を語り部としてクルド人虐殺を扱った映画。
ただその描き方は、象徴的だったり、ある場面ではブラック・ユーモアをこめてと、リアリズムではない描き方をしているのが特徴。
なのでドラマというより映像詩のような感じ。政府軍によって木に吊るされたラジオ(反政府組織の放送を聞いていたため)=ラジオの縛り首など、シュールで強烈な場面がいくつもありました。
「愛してる、成都」監督 ツイ・ジエン フルーツ・チャン(中国)
四川大地震をきっかけに作られたオムニバス映画。もともとは3本の予定が韓国のホ・ジノ監督の作品は独立した長編として発表されることになったので(「君に微笑む雨」)、2本だけのオムニバス映画。
最初の「2029年」は地震から21年後の未来の話。地震のとき知り合ったこどもたちがまた再会する。地震後、どんな人生を送ってきたかが語られます。中国の未来描写はめずらしい。
監督したツイ・ジエンはロック歌手としては大物で初の監督作品。
「1976年」はフルーツ・チャン監督。文化大革命のさなか、失踪していたある茶館の持ち主が突然戻ってくる。気がふれたような行動をする男だったが、伝統的な茶の入れ方が廃れていることにはがまんできないらしく店員に伝統を伝えようとするが、彼にこたえてくれたのは若い女給だけだった。
この「指導」を通して男と女が惹かれあっていくようすがすばらしいです。
男のほうは「鳳凰」にもでていたグオ・タオ。

写真の人物は「青い館」のグレン・ゴーイ監督と女優のエマ・ヤングさん。
2009.10.21
| Trackback(0) | ごあいさつ

昨晩の上映企画室はワードで映画祭のアンケートのまとめをお願いしました。
と、同時にキーボードを叩きながら今度、紅葉狩りに行くというメンバーにあ~だ、こ~だとどこがいいかと参加者で話しておりました。
そして次回上映会がどのようにすれば実現をできるのか、候補作の見どころを確認して頭を捻っていました。
2009.10.20
| Trackback(0) | 当会の活動報告
*昨日もご紹介しましたが「下北沢西口ジョウ映会VOL2」に赤羽健太郎監督「金糸雀は唄を忘れた」、藤原智樹監督「ネコ魔女のキポラ」とともに坂井昌三先生の「つゐ憶」も上映されます。
その坂井先生よりメールが届きましたのでご紹介します。
画像をみると「貝ノ耳」「博士の部屋」のように坂井先生も出演しているのでしょうか。

『つゐ憶』(10分)という小品を、急遽、「下北沢西口ジョウ映会VOL.2」(10月23~28日)で3度上映することになりました。
○会場・「ギャラリィトウキョウジョウ」定員30名(井の頭線西口1分・白い3階建てのビルの3F)
03-3418-4007 http://www.tokyojoe.jp/
○上映日時・10月24日(土)13:00~14:00
25日(日)19:00~20:00
26日(月)19:00~20:00 土・日は全17作品(4ブロック)を上映。
平日は夜のみブロックごとに上映予定。狭くてささやかな上映会ですが、東京在住で、ショートフイルム(アニメもあります)がお好きな人々に、情報を流していただけるとありがたいです。
『つゐ憶』は坂井があるフランスの監督と映画へのオマージュとして再編集したメロドラマでス。
坂井昌三
あらすじ
「亡き妻が残した若き日の写真を燃やしながら思い出に耽る男。
思い出は美しく謎に充ちている。
妻が愛した美しい記号の謎を秘めたまま写真は灰になる」
2009.10.19
| Trackback(0) | お知らせ

「第10回長岡インディーズムービーコンペティション」準グランプリ作「博士の部屋」の赤羽健太郎監督の新作「金糸雀(かなりや)は唄を忘れた」が昨年の伊参スタジオ映画祭でのお披露目を経てこれから次々と上映されるようです。
http://bienneko.exblog.jp/11257703/
特に下北沢西口ジョウ映会vol.2では藤原智樹監督作「ネコ魔女のキポラ」や昨年の当映画祭ゲストで「貝ノ耳」に出演したほか、「博士の部屋」でも登場した坂井昌三先生の監督作「つゐ憶」も上映するようです。
赤羽監督は今年の当映画祭のプログラム「第11回長岡インディーズムービーコンペティション+SRサイタマノラッパー」に駆けつけて下さいました。
ロビーで少しお話しをしましたが、お元気そうで話してて楽しかったです。
ちなみに長岡に来たことをブログに書いていただきました。
このブログは赤羽監督の芯の強さを読んでていつも感じさせます。
http://bienneko.exblog.jp/11209034/
忘れずにいてありがとうございます。
今度、長岡に来る時はぜひご連絡をください。
2009.10.18
| Trackback(0) | 長岡アジア映画祭

昨晩のミーティングは次回上映会について候補作を何作か挙げて検討しました。
資料を前に結構遅くまで頭を突き合わせていたのでヘトヘトとなり、とりあえずこの週末に持ち帰って、頭を冷やそうとお開きになりました。
ただし早いですが今年の望年会の日にちは今から決めておこうとなり、12月12日(土)夜、当会事務所にて開こうとなりました。
また詳細が決まりましたらこちらにも載せたいと思います。
2009.10.17
| Trackback(0) | 当会の活動報告

『第11回長岡インディーズムービーコンペティション』グランプリ受賞作「しあわせならたいどでしめそうよ」で目を引くのは主演の大作空(だいさく そら)ちゃんの存在感。
中年ホームレスのタロと居場所が見つけられない小学生の女の子の交流を描いた物語。
はみ出し者同士のつかの間の出会いと別れを描いてます。
「タロ、社長になれないよ」
公園で拾ったおじさんとの出会いから社会と対峙しながらも、隔絶している世間との距離に大作空ちゃんが叫ぶシーンが圧巻でした。
佐藤福太郎監督は昨年のフジテレビのドラマ、「コード・ブルー」第8話に出演した大作空ちゃんの熱演を見染めて起用を決意。
見事に佐藤監督の期待に応えて各地の自主映画祭を席巻中です。
授賞式にはご両親と共に東京からお越し下さり、元気に楽屋やロビーを駆けずり回ってたのが印象的でしたが、そこはやはり“女優”、普通の小学生と違うオーラがありました。
“長岡”の1日が良い思い出として刻まれて大きくなっても記憶に残ってくれたらいいなと。
2009.10.16
| Trackback(0) | 長岡アジア映画祭

当会にはごくたまに映画の試写状が届きます。
もちろん試写会会場は東京なので足を運ぶことはあまりないのですが、いつもありがたく思っています。
そんな届いた試写状の中の宣伝コピーに「第14回長岡アジア映画祭招待作品」と書いてあったものがありました。
その作品の名は「代行のススメ」。
当映画祭で先行上映させていただいたからなのだと思いましたが、この試写状が各地に配布されたと思うと、誠に畏れ多く、、、
「代行のススメ」は「モノクロームの少女」の美術教師役として印象深い藤真美穂さんがヒロイン。
そして名優・山田辰夫さんがお父さん役を演じいぶし銀の輝きを放っています。
“代行”をテーマにしながら代わることのない娘を想う父親の気持ちを山田辰夫さんが見事に演じ切り深い味わいを残します。
当映画祭でも山田辰夫さん目当てのお客様が駆けつけて下さいました。
そして舞台は伊参スタジオ映画祭のある群馬県中之条町。
「眠る男」(そういえば第1回の当映画祭上映作)「月とキャベツ」の舞台として以降、多くの映画がこの町で撮影されています。
「代行のススメ」は10月24日より渋谷のユーロスペースで公開。
HP http://daiko-cinema.com/top.html
もちろん伊参スタジオ映画祭でも上映が決定したようです。
HP http://www8.wind.ne.jp/isama-cinema/
2009.10.15
| Trackback(0) | 長岡アジア映画祭

長岡インディーズムービーコンペティションの審査をしいただいてるにいがた映画塾の井上朗子代表の新作「地べたに横になる」がにいがた映画塾主催“えぢから05 画力”で上映されたので足を運びました。
新潟市8区それぞれを舞台に映画塾が映画制作をした今回の企画、井上監督は中央区を担当。
「地べたに横になる」は笹団子工場の部署に若い男が研修生として働きに。
ちょっと疲れてきた30代女性ばかりの職場が若い男が入ることによって波紋が広がる様を描きます。
新潟市中央区は新潟市の中心部で登場するスポットもおなじみの場所が多いにもかかわらず、井上監督はあえて観光向けのように派手にせず、むしろその影の地べたでひっそりと日常を生きる人々に視線を向けて物語を語っていきます。
井上監督の常連の名優“江村さん”は今回参加できず、はたしてどのようになってるのかと思いましたが、膨らみは増してそれぞれささやかに生きる人々の息遣いと人生の断面をとらえて見ごたえがあり、新たな段階に踏み出したことがよくわかりました。
他にこの日は西蒲区を舞台にした阿部久美子監督の「おばけとごはん」、東区で撮影した宇佐美基監督『東区生まれのHIPHOP育ち!」が上映。
前者が明るい怪談話に音楽に三味線の音が面白い効果を発揮し、後者はまるで西部劇のゴーストタウンと化したのような商店街で“新潟愛”を唄い踊るミュージカルシーンが圧巻なものの、きちんと故郷への苦い想いを染みさせて決してミュージカルを見せ場だけにした映画ではなかったのが良かったです。いい若いモンの遊びがキャッチボールというのも結構衝撃でした。
現在残りの5作品も制作中のようでいづれ全8区揃った形で上映されるのではないでしょうか。
上映会を終えて次の目的地までの間に吉野家でカレーライスを食べた後、偶然帰路に着く井上監督と遭遇し感想をお伝えしましたが、自転車に乗ってたその姿が新潟の地と溶け合ってるように思いました。
あと会場ロビーで現在、松本シネマセレクトで活動し、かつて当会はもとより、にいがた映画塾でも活躍していたHさんがいたので当会会報“すくらんぶる”新号をお渡ししました。
この日は松本から車を飛ばしたそうですが、後でふと思い返したのはそういえばHさんて、何代目かの“すくらんぶる”編集長だったことでした。
当時から随分変わったことをお伝えすればよかったと。
またにいがた映画塾の会報もいただきましたが、新潟の二大(?)自主映画祭として映画塾主催の「にいがたインディーズムービーフェスティバル」(今年は11月15日シネ・ウインドにて)とともに「長岡インディーズムービーコンペティション」を紹介いただいてました。
恐縮ですがありがとうございます。
2009.10.14
| Trackback(0) | 当会の活動報告
*以前、このブログに書いたら、少なからず反響のあった「故郷は緑なりき」が東京・神保町シアターで10月16日まで上映中です。
S東京特派員が早速観に行きレポートしてくださりました。

長岡を舞台にした映画「故郷は緑なりき」を見に神保町シアターに行って来ました。
神保町に2年ほど前にできた客席100席ほどのミニシアターながらTHX認定で3D上映も対応しているシネコン並みの設備のすごいところです。
前から4列で見たのですがスクリーンはかなり大きく映写もきれいでした。
主に古い日本映画をテーマを決めて特集で上映していて今回は「思ひ出は列車に乗って」と題して列車が出てくる映画特集でした。
この映画も柏崎と長岡に住む学生が通学で利用する車内で出会うので列車がふんだんに出てきます。長岡駅、柏崎駅、越路町駅、長岡駅前やそれに主人公が通う学校は昔の長商でロケされたようです。
「故郷は緑なりき」はニュー東映の昭和36年の作品。
監督は村山新治、出演は水木襄と佐久間良子。他に三國連太郎、中山昭二、加藤嘉などが出ています。
東映の二番手の会社でモノクロ映画、ヒロインの佐久間良子は知っているけど相手役の水木襄は知らないので、まあ添え物映画だろう、長岡の昔の風景が見れるだけでいいや、と思っていたのですが、いや完全に見くびってました。
主人公たちの初々しく純粋な初恋は今の韓流に負けてないのでないでしょうか?
懸命に生きる若い恋人たちの1年を四季を追って丹念に描いた本格的な映画でした。
今となっては笑っちゃう場面もあるのですが、それも微笑ましいほどスクリーンの中の人々が生き生きとしていて好感が持てました。
時代設定が昭和25年ぐらいで制作された年より10年ぐらい前ですが、男女交際が校則で禁止されて違反者は退学という時代で、世間の目も厳しく、水木襄の家庭は朝鮮からの引き上げ者で柏崎に住み、佐久間良子の家は長岡の弁護士という貧富の差も障害になり若い恋人たちの恋の行方に思わず引き込まれてしまいました。
恋する佐久間良子は本当にかわいかったです。
長岡ロケ作品だというだけでなく、良質の恋愛映画として見た人の心に深く残る映画ではないでしょうか。おすすめです!

ちなみに同じ日に続けて見た「北国の街」は同じ原作によるリメイクですが、時代が現代になっているためストーリーを成立させている時代背景が無くなってしまい比べて見ると残念ながら本質を見失った作品でした。
2009.10.13
| Trackback(0) | 当会の活動報告
*S東京特派員より10月10日『1000年の山古志』ポレポレ東中野 での初日報告が届きましたのでご紹介します。
またポレポレには橋本信一監督が寄稿した“すくらんぶる61”を東京特派員よりおいていただきました。みかけたらぜひ手にとってみてください。
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「1000年の山古志」、ポレポレ東中野で舞台挨拶に行って来ました。
映画の冒頭の震災直後の様子はショッキングですが、それよりも山古志で自分たちがしてきた仕事を再び再開しようと努力する村人たちの姿がこの映画の中心で、感動的な作品でした。
新潟の一地方の山の中の村の話ながら普遍的なテーマを持った作品でだれもが自分のこととして考えさせられる映画だと思うのでこれからも東京をはじめ広く公開されて多くの人に見てもらいたいです。

(写真は左から編集の小島俊彦さん、撮影の松根広隆さん、橋本信一監督、ナレーターの長谷川初範さん、プロデューサーの武重邦夫さん)
2009.10.12
| Trackback(0) | ごあいさつ

例年『長岡インディーズムービーコンペティション』の審査を引き受けていただいてる、にいがた映画塾の井上朗子代表の新作『地べたに横になる』が完成・発表されます。
いつもオリジナリティ溢れる感性が素晴らしいのですが、今回ははたしてどのような作品に仕上がっているのでしょうか。
期待が高まります。
以下、新潟市のフィルムコミッションにいがたロケネットから届いたメルマガから抜粋して紹介します。
●にいがた映画塾上映会「えぢから'05」~新潟市8区がテーマの作品が先行上映されます~
今夏は、ロケサポもエキストラ支援した、にいがた映画塾の映画制作活動。
そのにいがた映画塾では2年前から新・新潟市8区を舞台にした作品作りに取り組んでいました。 今年9月までに3本の作品が完成し、その先行上映会が10月11・12日の連休に、iメディア実習棟にて開催されます。
ロケサポ・メンバーも出演したり、スタッフしたりと、関わりの多い作品です。この機会に是非、足を運んでみて下さい。
また、今後も残る5作品が制作されます。こちらも注目下さい。
--------- 上映日時 ---------
・10月11日(日)13:00~19:45
・10月12日(祝)13:00~16:45
会場 iメディア実習棟(新潟市古町5・旧新潟松竹)
作品
〇中央区篇「地べたに横になる」(井上朗子監督)・沼垂の笹団子工場を舞台にしたお話。
〇西蒲区篇「おばけとごはん」(阿部久美子監督)・中之口の純朴農作青年のお話。
〇東区篇「東区生まれのHIPHOP育ち!」(宇佐美基監督)
・ロケサポがスタッフ参加したミュージカル映画。
※各作品とも複数回上映されます。
料金 ・前売券1000円 ・当日券1200円
(前売券はシネウインド店頭か、にいがた映画塾までお問い合わせ下さい)
にいがた映画塾事務局
住所新潟市中央区花園2-3-2
HP http://www.n-eigajyuku.com/
2009.10.09
| Trackback(0) | お知らせ
もう20年近くも前のこと。
新潟では公開されなかった「狼・男たちの挽歌最終章」を観に訪れたのが横浜・黄金町の名画座。
チョウ・ユンファをはじめとする香港ノワールに熱狂していた当時、ビデオ化がまだだったのでぜひともスクリーンで観たいと思い立ち“ぴあ”を片手に訪れました。
なんとか辿り着いた黄金町は横浜とはいえ華々しさは無く随分と怪しさに満ちた印象を抱き、後で黒澤明監督の「天国と地獄」の中で退廃的に登場する街と知って納得し、何よりも映画館のお客さんが東京で観る当時のオシャレだった香港映画ファンの客層と全く違ってたことにカルチャーショックを抱いたりしました。
今思えばジョン・ウーとチョウ・ユンファ、それにダニー・リー、故人となったシン・フイフォンの絶頂期だった事もありましたが、この劇場周辺の不穏さが劇中に登場する香港の裏通りとリンクし、一層興奮させたれた幸福な映画体験だった事を覚えてます。
後に、この劇場に思い入れを抱いてた林海像監督が永瀬正敏を主役にこの劇場で「濱マイク」シリーズを撮ったと知りました。
それから数年後。
にいがた国際映画祭に暉峻創三先生の講演があり、映画祭スタッフのご厚意で打ち上げに参加させていただいた時、同席してた横浜から来た暉峻先生が東京で開いてる講座の受講生とお話しをしました。
こちらが「市民映画館をつくる会」という名の会のメンバーと知ると興味深そうにいろいろと尋ねてきました。
その方とははお便りで連絡を取り合っているうちに、いつしか名画座も閉館してしまった黄金町に映画館を建設しようというグループに入って活動しているとありました。
こちらは先輩風を吹かしていたのが、あれよあれよとその映画館は完成し、先輩風がとんだ赤恥をかいた結果になりましたが、その映画館の名が“シネマ ジャック&ベティ”
お便りで交流が続くその方も劇場のボランティアスタッフとして頑張っているようです。
今度“シネマ ジャック&ベティ”で偶然なのか「1000年の山古志」「モノクロームの少女」と『震災フェニックス×長岡アジア映画祭』で公開された映画が続けて公開されるようです。
「1000年の山古志」が10月10日~11月6日の公開で10月11日に橋本信一監督、松根広隆撮影監督、武重邦夫プロデューサーの舞台挨拶が。
「モノクロームの少女」は10月17日~10月23日の公開で初日は寺島咲さん、川村亮介くん、五藤利弘監督の舞台挨拶を予定してるとのこと。
どちらも中越大震災が物語の核になり、奇しくも五年前の地震が発生した10月23日に両作とも上映しているのは何かの縁を感じたりしますので、横浜に住む中越出身者の方は足を運んではいかがかとお勧めしたいと思います。
もちろん中越出身者だけでなくても。
あれから黄金町は訪れたことはありませんが、今度機会があったら“ジャック&ベティ”に行ってみたいと夢想します。
シネマ ジャック&ベティ公式HP
http://www.jackandbetty.net/

当映画祭のチラシ置き場。“すくらんぶる”のバックナンバーはもちろん、県内外の劇場、上映会、イベント。全国から届いた映画祭のチラシ等を置いて情報発信の場として機能し、お客様は結構足を止めて見入っていました。
2009.10.08
| Trackback(0) | 長岡アジア映画祭

先日、人手が足りないから手伝いに来てくれとよくわからないまま同行し辿りついた場所が山古志。
なんでも山古志の人を追った番組制作のようでしたが、はさがけした稲穂を共同で行う脱穀作業の取材後、村人たちから「おまえさんたちも一緒に食べんかね」と昼食を思いがけずご招待されました。
牛すきやき、菊の胡麻あえ、なす漬け、レンコンの煮つけ等など山古志の特産を使ったおかず数々、そして何よりお茶碗にてんこ盛りされた輝く新米!
「こんな山の中で食べると一層、うまいだろ?」
空き地にビニールシートを敷き、汗を流して農作業を終えたばかりの皆さんが車座になって笑顔で語らいあうひと時。
こちらにもお爺さんが声をかけて下さいましたが、うまいという言葉では足りないぐらい贅沢な昼食で感激もひとしおでした。
ともかく口にするもの美味美味美味でもちろん、ご飯はおかわり!
ディレクターさんが事前に何度も山古志入りをしてみなさんと顔なじみになっていたこともあるでしょうが、それでもどこの馬の骨ともわからないこちらに豪勢な昼食を用意し、気取らずあったかみのある言葉で話しかけてくれる山古志の人達、よく言われる山古志の魅力をナマで感じた気になりました。
以上、だけだったらこのブログに書くことでもなかったのですが、このごはんうますぎるよと胸で呟きながら隣に座ってたお爺さんにふと「1000年の山古志」を観ましたか?
と尋ねたところ、もちろん山古志の完成試写会で観ていたばかりか、
「あそこに座ってる女の人が田んぼに水を引いてた人だよ」、と。
えっ!じゃぁ、あの田んぼは近くにあるのですか?
「ちょっと、この上にあるよ」
「1000年の山古志」の中で特に強い印象を残すが、地震で崩壊した田んぼを再生するためにホースを手に道なき道、崖沿いを水源目指して歩く老婦人の姿。
困難の末にようやく田んぼに水が出てきた瞬間をも捉えていた感動のシーン、あのシーンの主人公である女性・上田さんが偶然にもこの輪の中にいたのは驚きました。
「ごちそうさまでした」と皆さんにお礼を述べて、上田さんに駆け寄り「1000年の山古志」にとても感動したことを伝えると、この場で突然のことなのでびっくりした様子。
小柄で陽に焼けた容姿は“働き者”の山古志の女性そのものといった風貌で映画に登場した田んぼも稲刈りを終えて、これからここで脱穀したいと話していました。
なんというかそんなことはまずありえませんが街中偶然見かけた映画女優さんに映画の感想を伝えるようなドキドキ感を味わったものの、強く思ったのはあの映画で多くの人を感動させた土田さんは日々こうして慎ましく懸命に働いてることを知り、それがとても尊く映りました。

2009.10.07
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昨晩の上映企画室は映画祭が終わって、さすがに溜まったゴミやいらないものを掃除、整理していました。
また映画祭の録画していたトークの模様が徐々にダビングできてきたので見て振り返っていました。
今回は寺島咲さんの誕生日お祝いの模様を録画していたのですが、撮影者が大胆なことをしていたので褒めておりました。
上映企画室は毎週月曜夜に事務所で開き作業やミーティングをしています。
ゴミ掃除をしていたなどと書くと引いてしまうかもしれませんが、興味を持った方はご連絡下さい。
ただし祝日はお休みなので来週12日(月祝)はお休みします。
2009.10.06
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「“笑っていいとも”でしか見たことがない」
映画祭最終日の9月21日、朝から開場の準備をしているとロビーにお花が届きました。
スタッフ誰もが驚き、しげしげ眺めて感想を漏らしたのが冒頭の言葉。
贈り主は昨年の映画祭で「貝ノ耳」を上映とともにお招きした杉田愉監督。
贈り先は五藤利弘監督と寺島咲さんに。
昨年の長岡インディーズムービーコンペティションの審査を共にした杉田監督と五藤監督。
今年も杉田監督にお願いしたところ、大怪我をしたとのことでご辞退のお返事が。
大変驚きましたが、映画祭で五藤監督の「モノクロームの少女」を観るのを楽しみにしていますとのお返事をいただきました。
しかし、さらなる治療とリハビリに専念をするため、残念ながら会場に来れなかったのですが、その代わりにしては豪勢なお花が届き、ロビーは本当に華やいでいました。
もちろん五藤監督と寺島咲さんも目にして大変喜び、この日はゲストとスタッフの皆さん、ロビーに集合して記念撮影をしたのですが、この杉田監督からのお花が見栄えがいいので前に集まって一同撮影をしました。
正直、1年前とはいえ今も気にかけていただいてることに深く感謝する次第です。
杉田監督、無理をせずに怪我の回復とまた美しい物語を奏でる“杉田ワールド”を目にすることを望みます。
映画祭からもお礼を申し上げます。
2009.10.05
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「来迎寺のゲストハウスに泊って、映画祭には初日から行こうと思ってるんですよ」
「ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW1」の早川由美子監督に映画祭上映当日のスケジュール確認の電話をした時のこと。
「映画祭初日から?しかも来迎寺にゲストハウスなんてあったのか?」
と、これまでのゲストと違うことが起こりそうなことが面白く感じて、初日から来ていただくのであればドキュメンタリー作家に映画祭の様子を見てもらって、しかも調子に乗ってもぎりとかをお願いできないかと頼みましたら快諾をいただきました。
約束通り、初日から早川監督は会場に来てスタッフに交じってもぎりをしていただきました。
現役の映画監督にそんなことをさせていいものかと思いましたが、とても気さくな早川監督はすっかり馴染んでいただいたようでした。
ありがたかったのは手が空いた合間合間にスタッフ達とお話しをしていただいたこと。
これまでの早川監督の体験・見聞に耳を傾けることはスタッフにとっても貴重な財産になった筈。
もちろん早川監督はこの映画祭がどんなものか、初めて訪れた長岡について、そしてスタッフ達の大げさにいえばこれまでの人生とこれからの生き方に熱心に耳を傾けていただようでした。
そんな早川監督から当映画祭滞在記をブログに書きあげたとメールが届きましたのでお知らせします。
http://brianandco.cocolog-nifty.com/
さすがにジャーナリストだけに目にした様々な出来事を読みやすく的確にまとめていて読み応えがあり、この当会ブログ存在意義が薄らいでしまった感があります。
特に長岡駅前の“幻の居酒屋”に入った話はスタッフを驚かせたのですが、こうして読むとあの“居酒屋”へのあまりの偏愛ぶりに読んだ人は駆けつけたくなるのではないでしょうか。
もちろんハイライトは小林茂監督からのアドバイス。
ドキュメンタリー映画に足を踏み入れたばかりの早川監督にこれまでの生きざまを全て叩き込もうとしてるかのようで圧巻、それを漏らさずノートに書き留めた早川監督の熱意も凄いと思いました。
ブログには長く書かれているように思いますが、おそらくほんの1ページぶんではないかと思いますので、書き留めたノートを全て読んでみたいと思いました。
ちなみに17日に登場するゲストハウスのご主人と一緒に写真に収まっている恩師は羽賀友信国際交流センター長、小林茂監督、五藤利弘監督の恩師でもある方。
こんな繋がりもあることにちょっと驚きました。
12月には早川監督は「ブライアンと仲間たち」の上映とともにトルコのドキュメンタリー映画祭に駆けつけるそうです。
これからもご活躍を期待しつつ、長岡に来る機会がありましたらぜひご連絡をいただけたらと。
お元気で、ありがとうございました。
2009.10.04
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今回の映画祭でも「モノクロームの少女」上映後のトークの司会をお願いしたのが小林三四郎さん。
第5回の映画祭で仲村トオルさんのお相手をお願いしたのが最初なのでもう9年にもなります。
柏崎出身の舞台俳優として、また当時は新潟のFM局の番組の名パーソナリティーとして活躍。
仲村トオルさんの魅力を一層引き出す相手役が誰かいないかと探していましたが、ひょんなことから三四郎さんの名前が浮かびお願いしました。
以後、毎回当映画祭の最終日に東京からかけつけていただき、司会を引き受けていただいてます。
最近はよく「僕なんかそろそろいいだろ」と笑いながら司会を固辞したりするのですが、今回は「震災フェニックス×長岡アジア映画祭」の一環である「モノクロームの少女」上映後のトークとなるので、司会は三四郎さんに強くこだわりました。
というのも三年前の中越沖地震で三四郎さんの柏崎のご実家が大変な被害を被ったので、三四郎さんなら被災者の心情を理解し、復興への思いをトークの中で織り交ぜていただくことが出来ると思ったからです。
トークでは中越大震災の発生した5年前の10月23日、ゲストの方々、それぞれどのような思いで過ごしたかからスタートして映画の内容についてうまく繋がり、名司会ぶりを発揮してやはりお任せして正解だったと。
実は三四郎さんは3年前に映画の配給・宣伝会社、その名も“太秦”を立ち上げて代表取締役に就任。
今まで以上に多忙となりながらも当映画祭への協力を惜しまないでいただくのはとても感謝しています。
今年は“太秦”の配給作品として「台湾人生」があり、東京のミニシアターでは超満員となり、お客様が入りきれないほどの大ヒットとなったそうですが、これは三四郎さんが昨年の函館イルミナシオン映画祭で作品を観て気に入り配給を決意したそうで、映画の目利きとしても抜きん出ていると思いました。
余談ですが第5回の打ち合わせで仲村トオルさんには「ジェネックス・コップ」で共演してるン・ジャンユー(フランシス・ン)に注目していることを三四郎さんは伝えて、見る目がある方だとその時に思ったものです。
今後、“太秦”は「台湾人生」に続けとばかり木村威夫監督、原田芳雄主演「黄金花」の配給を手掛けるほか、瀬々敬久監督「ドキュメンタリー 頭脳警察」、アレクサンドル・ソクーロフ監督「ボヴァリー夫人」の宣伝も担当し気勢があがってます。
配給会社は数多とあるようですが、その中でも着実に地位を築いてるようです。
ちなみに10月10日は宣伝作「「あがた森魚ややデラックス」と橋本信一監督作「1000年の山古志」の東京での初日が重なり、映画祭の打ち上げで牽制をしあっていました。
というのは冗談で三四郎さんは「函館イルミナシオン映画祭」の、橋本監督は「しんゆり映画祭」のそれぞれ運営委員でもあるので、打ち上げでは映画祭のあり方について熱心に意見を交わしていました。
ところで「モノクロームの少女」には役名“諸橋三四郎”という登場人物が出てきますが、これは当初演じるのは小林三四郎さんだった筈。
というのも五藤利弘監督から読ませていただいた最初の脚本には小林三四郎さんが演じると名前がありました。
結局、三四郎さんのスケジュールが都合つかなかったようで、役名に名が残り松井誠さんが演じていましたが、脚本を読んだ時はどんなふうに三四郎さんが演じるのか想像し興味を覚えていました。
あと今回の映画祭は三四郎さんが大変頼もしく見えて思わず、思わず胸に飛び込みたくなった瞬間がありました。
あの時はホントにありがとうございました。
“太秦”公式HP
http://www.uzumasa-film.com/
ちなみに現在“すくらんぶる”で好評連載中の「映画配給宣伝日記」はこの“太秦”が舞台です。
執筆者のあたぽーん女史はかつて当映画祭の実行委員でもありました。
2009.10.03
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「このマトンはハラールされているけど、このチキンはされていません
あとイスラムの方のためにハラールをしたお肉を使ったセットも用意しています。よろしければ」
映画祭でヤスミン・アハマド監督作「細い目」の上映後に羽賀友信長岡市国際交流センター長とともにマレーシアについてお話しいただいた、長岡技術科学大学の留学生お二人ヌルルさんとウミさんお礼としてお食事にお招きしました。
当会の副会長、お父さんも同席し場所はインド料理のお店“バンヤン”。
テーブルについてメニュー表を見ながらお店の方の説明、招待したお二人とも敬虔なイスラム教徒であるので豚肉が食べれないなど食事制限があるのですが、ここの店主はインド放浪の経験もあり、海外の事情も詳しいのですぐに理解し、冒頭のようなメニューの説明をしていました。
お二人はそれぞれ「エビカレー」と「野菜カレー」、それにナンを注文。
話題はまず気になった言葉“ハラール”について。
話を聞いてなんとなくお祈りの手続きをしたお肉のように思いました。
その後は映画祭でお話しいただいた9月19日はラマダン(断食)の最後の日だったことからイスラムの戒律など、いろいろ興味深い話を伺いました。
映画祭前にヌルルさんとお会いし、お茶を飲みながら打ち合わせでもと喫茶店で話し始めたらその日は断食の真っただ中と知り、断食は聞いたことがあっても、その日がラマダンの期間だったことなどイスラムの基本的なことも何も知らなかったことを痛感したことを思い返してました。
映画祭の日は暑かったので水でも用意しようとしましたが、それも口にせず「子供の頃からなので大丈夫です」と。
お二人ともマレーシアの学校で知り合い、留学先に技大を選んだのは、その学校の先生が技大に留学をした経験があり、いろいろと教えてもらったことから。
もちろん“暑い国”マレーシアで雪の降る長岡についても事前に知識として知ってたそう。
弥彦山や高田の桜を観に行きとても良かったと話し、勉強については「大変だけど、楽しいです。仕事もそうでしょう」
ただやはり寒い冬はなかなか外に出れないと。
「細い目」の女の子は金城武が好きだったけど、マレーシアでは実際に人気があるの?
とお父さんは尋ねると頷きましたが、お二人ともマレーシアでは子供の頃から「ドラえもん」や「となりのトトロ」など日本のアニメに親しみ、テレビドラマの木村拓哉や反町隆史を見て育ち、友達は浜崎あゆみや宇多田ヒカルを聴いたり、歌ったり、男の子達はモーニング娘。を踊ったりと(!)と最近は韓国のテレビドラマも多いそうですがマレーシアでは日本のサブカルチャーがすっかり浸透していることが伺えました。
しかしこちらはマレーシアにいるであろうキムタクやあゆの名前も知らず、唯一ヤスミン・アハマドの映画でしかマレーシアについて伺い知ることができず、しかも次回作が日本との合作だったというヤスミンの急死が残念でならないことを話し、もしそれが実現したら交流が促進したのにと悼んでいました。
その流れで「マレーシアは昔の映画に面白いのがありますよ、今度紹介します、白黒だけど」とヌルルさんは、今度帰国した時にDVDを持ってくると話して下さいました。
それは嬉しいと思ったものの「字幕は無いよな」と日本勢は呟きましたが、「まぁ、見ればわかるんじゃないか」と。
最後に「学会で先週、仙台に行ったけど大都会で驚いた。日本の大都会は東京と大阪だけだと思ってた」というヌルルさんから仙台土産のお菓子をいただき日本勢は感激。
技大に電気を学ぶ屈託ない笑顔が印象的なヌルルさんと機械を学んで知的にお話しをするウミさん。
お互いに楽しかったという時間はアッという間に終わりました。
これからもよろしくお願いします。
そしてこの場をセッティングしてくれたといっていいヤスミン・アハマド監督にお礼を。

2009.10.02
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