トゥヤーの結婚

“女に手を出す時はその気にさせることね”
砂漠化が進行する荒涼とした内モンゴルで寝たきりの旦那、幼い子供を抱えて日々過酷な労働に精を出す女トゥヤー。
しかしさすがに限界を感じたために離婚を決意した途端、働き者のトゥヤーには次々と求婚者が。
彼らに出した条件は「子どもと離婚した旦那と暮らすこと」。はたしてトゥヤーの再婚の顛末とは。
昨年の映画祭で上映した「モンゴリアン・ピンポン」は同じく中国・内モンゴル自治区が舞台で見渡す限りの草原が舞台でしたが主人公の一家は移住から定住へと移り、時代の変わり目をさりげなく見つめていました。
しかしこちらはもはや草原だったことが信じられないほど温暖化や産業拡張によって、砂漠と化した大地で羊の放牧を生業にささやかな畑を耕す一家を見つめていきます。
内モンゴル自治区は現在、砂漠化の他、政府の遊牧民への強制移住、富裕層の出現と格差と大きく変貌していく、まさに現代中国の断面を見せながらも、少数民族の伝統・文化を記録し、時代が変わろうとも決して変わることのない家族への深い愛をトゥヤーを通して描いてます。
トゥヤーへの求婚者には富裕層の成金と既婚のロクデナシ、どちらもトゥヤーへの深い愛を語りますが、気持ちを受け止めながらもハードボイルドな言葉を吐く彼女の強気な面が切なくとてもいいです。
生きていくために過酷な生活・決断をしなければならないトゥヤーが誰よりも家族を愛してることに大きな感動を覚える1本。
昨年のベルリン国際映画祭グランプリ受賞作は監督が自身の母親の姿を重ねたという大地に立つ逞しき女性賛歌!
実行委員で先に本作を観賞した際、冒頭のトゥヤーの涙の意味に意見が分かれましたが、皆様はどう感じるでしょうか?
ちなみに脚本のルー・ウェイは「さわば、わが愛 覇王別姫」「レッド・クリフ」と大作を書いてますが、以前に当映画祭で上映した「遥か、西夏へ」では監督を手がけてます。
トゥヤーの結婚 2006年 中国
9月20日(土)10:50〜
DATA
96分/北京語
英題 “TOYA'S MARRIAGE”
監督 ワン・チュアンアン
脚本 ルー・ウェイ
出演 ユー・ナン/バータル/センゲー
配給 ワコー+グアパ・グアポ
story
砂漠化する草原、過酷な重労働の毎日の中、幼い子どもと寝たきりの夫を抱えるトゥヤーは離婚を決意する。働き者の彼女には求婚者が押し寄せるが出した条件は家族のため「子どもと前夫とともに暮らすこと」、、、
昨年のベルリン国際映画祭グランプリ受賞作は変貌していく中国・内モンゴルの荒野で逞しく生きる女性賛歌。トゥヤーのモデルは監督の母親の姿を投影し、演じたユー・ナンは「スピード・レーサー」にも出演。
2008.08.21 | Trackback(0) | 長岡アジア映画祭

