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アジアフォーカス福岡国際映画祭2011

*S東京特派員の映画祭巡礼記。
今年も「アジアフォーカス福岡国際映画祭」です。
開催時に新潟日報でディレクターの方が香港映画の不振を嘆いてましたが、
そんなこと言わず、アジアの未公開作を観れる数少ない機会なので紹介してほしかったと思いました。
http://www.focus-on-asia.com/

福岡Tジョイ博多

今年もアジアフォーカス福岡国際映画祭に行ってきました。
日本初公開のアジア映画が16本。その内14本を見ることができました。
この映画祭は東京国際映画祭やフィルメックスのようにコンペ部門がありません(観客賞はあり)。なので映画のセレクジョンもより観客向けのものになっているように思います。かなり真面目な内容の作品が多い。でも中には「趙婦人の地獄鍋」のようなホラーや「レッド・イーグル」のようなヒーローアクション映画もありますが。
今年からは会場がオープンして間がないT・ジョイ博多に変わり、メインスクリーンを2つ使ったぜいたくな上映だったのもよかったです。シアター9で見た「レッド・イーグル」は音響も素晴らしく大迫力でした。
それでは個々の作品の感想を簡単に。

「ナデルとシミン」(仮題)イラン アスガー・ファルハディ監督
ファルハディ監督は前作「彼女が消えた浜辺」でもイランの都市部市民の人間関係を生々しく描いていましたが、今回も二組の夫婦を主人公に戒律に忠実にあろうとするあまりに生活に破綻をきたしていく様を描きます。イランが戒律によってごく普通の人間なら持つ欠点やささいな行き違いやミスが許されない厳しい社会であることを実感させられます。イランの日常生活が実感できることもすばらしいですが、世界レベルの一級のドラマでもありました。

「カシミールの秋」インド アーミル・バシール監督
インド・パキスタン・中国が実効支配するカシミール地方。都会から生まれ故郷の村に戻ってきた青年。そこでは街を武装した兵士が歩き、検問所には不気味に機関銃が狙っています。季節は秋。山岳地帯の景観も現実の政治情勢の前に荒涼として見えます。寡黙な青年のまなざしは抑圧されたカシミールの無言の訴えのよう。16mmブローアップの荒れた画面が効果的でした。

「妻は、はるか日本に」インド アパルナ・セン監督
こちらはおなじインドでもかなり夢物語な映画。インドの青年と日本の女性が文通をするうちにお互いに好意を持ち、結婚を決意するものの運命のいたずらでその後数十年会えないまま純愛を貫くというもの。原作はイギリスでベストセラーになった小説とのこと。監督自身原作を読んで「純粋すぎてシュール」と感じたそうです。日本人女性役の高久ちぐささんは間違った日本観を直そうとスタッフにお願いしても聞き入れてもらえなかったとか(ヒロインの名前はミヤゲというありえない名前だったりします)。逆にインド人からみた日本人像がうかがえて興味深いかもしれません。主人公たちの純愛の影で、インド人青年に密かに思いをよせる未亡人の恋も印象的なメロドラマでした。

「僕はジダン」インド スーニー・ターラープルワーラー監督
主人公の少年の父は宗教家で大勢の信者がいるが家族には横暴、信者からの献金で儲けているなど問題の多い人物。家族同士は仲がいい隣人の新聞主もこの父親だけは犬猿の仲。そんな家族の日常に巻き起こる騒動を描いたコメディ。ゾロアスター教徒の描写などは珍しい。タイトルは少年があこがれるサッカー選手から。でもあまりサッカーは出てこないです。

「恋するリトルコメディアン」タイ ウィッタヤー・トーンユーヨン/メート・タラトーン監督
一家代々芸人一座の家庭に生まれた少年。幼い頃から次代の座長と期待されたものの全くお笑いの才能ゼロ。授業もそっちのけでネタ作りに励む熱意も実を結ぶことなく、それどころか天性のギャグセンスを持つ妹に将来を脅かされていた。そんなとき、彼のギャグを笑ってくれる人物が現れる。美しい女医のアイス先生だ。
正直あまり現実的でない設定なのですが、家族から見放されていたと思い込んでいた主人公を見守る家族の愛情とか心温まる映画でよかったです。ギャグもかなり笑えたし。それからアイス先生役のポーラ・テイラーがなんといっても魅力的。

レッド・イーグル
「レッド・イーグル」でレッド・イーグルを追う刑事役のワナシン・プラスータクンさん

「レッド・イーグル」タイ ウイシット・サーサナティアン監督
ほんの少し未来のバンコク。麻薬組織や汚職政治家を処刑する謎の男が出現。その名はレッド・イーグル!レッド・イーグルはかつて映画化されたこともあるヒーローで、今回はそのリメイクですが、オリジナルは007のような映画だったそうで、かなり改変されているようです。新しいレッド・イーグルはアメリカ映画のバットマンに近い感じですかね。普通の人間がマスクをつけて犯罪者と戦うパターン。でもこの戦い方がかなり残酷で、頭や手足が画面を飛びまわります。これは現実の犯罪に対するタイの観客の怒りを反映しているようです。そしてラスト、本当にいいところで「つづく」の文字がでますが、実際には続編は作られてはいないようです。ひどい!
レッド・イーグルに扮しているのは日本でも主演作が何本も紹介されているイケメン、アナンダ・エヴァリンハム。ほとんどマスク姿なのがもったいないいい男です。
監督は「怪盗ブラックタイガー」のサーサナティアン。監督業引退とも言われてますがぜひ続編を作ってもらいたいものです。

「タンロンの歌姫」ベトナム ダオ・バー・ソン監督
18世紀末、若き官僚と宮廷楽師の恋は戦乱によって引き離される。男は王朝の滅亡によって地位を失い、その後の数々の支配者の変転で無官の苦しい生活を送り、楽師の女も新たな支配者に強引に仕えさせられる。歴史大作ながら英雄を主人公にせず、弱い立場の人間を主人公にしているあたりがベトナムらしさでしょうか?歳月が流れ新たな王朝で高級官僚に出世した男と老いて物乞いになってしまった女が再会するあたりは新派の芝居のようでもあり、日本人にもわかる感覚なのが親しみを持ちます。ヒロインのニャット・キム・アインは宮崎あおいに川原亜矢子を足したような美人でエロティックな場面もあり魅力的でした。

「すばらしき大世界」シンガポール ケルビン・トン監督
「大世界」とはシンガポールで戦前からあるアミューズメント・パーク。70年代に姿を消すまでの間を4つのエピソードでつづるノスタルジック・コメディ。
しょぼい遊園地にしか見えないセットに最初は乗れなかったもののシンガポールがたどってきた歴史と登場人物たちのストーリーがリンクしてきて、最後のエピソードではまさかの滂沱の涙。歴史に流される庶民の哀歓とそれがすでに存在しない悲しみに打たれました。監督のケビン・トンはホラー映画「冥土メイド」の人ですがいろんな映画を撮れるひとだと感心しました。

「趙夫人の地獄鍋」マレーシア ジェームス・リー監督
屋台の料理店を経営している超夫人は暴力夫を殺したあとその肉の処理に困り料理の材料に使ったところこれが好評。三人の娘といっしょに食堂を始める。材料は死んだほうがいい男たち。材料は事欠かない。超夫人の料理はますます評判に―というホラー映画。かなりグロテスクですが三姉妹が美人なのであまり気になりません。というか不実な男が女に懲らしめられる映画なのですから道徳的な映画だといえます。
趙夫人役はツァイ・ミンリャン監督作品のパーリー・チュアなので一番怖いと思っていたのですが冷静な母親の役だったのも意外性があってよかったです(狂気を秘めた人物は他にいます)。

「車の影に」フィリピン アドルフォ・ボリナガ・アリックスJr監督
タイトル通り、港にある駐車場に止まっているトラックの車体の下で暮らしているひとびとの物語。車が動けば移動して他の車の下に行く。事情はよくわからないが住む場所を追われてやむを得ずそんなところで生活しているようで、じゃまにならない限りは黙認されているよう。主人公はひとりの母親。利発な娘を育てることだけが生きがいの彼女の生活を映画はデジタル撮影のモノクロ・シネマスコープの画面で淡々と描き、困難な状況でも希望を持てば生きていける人間の営みと、それが崩れ去ったときの悲しみを映し出します。

「遠い帰郷」中国 トン・ヨンシン監督
もう若くないヒロインは事業に失敗し、上海の同郷の知人を頼って新しい仕事を始める。他の同郷の知り合いもみな人生の失敗者ばかり。そんな中でひとりが出稼ぎ労働者相手の帰省バスを自分たちで走らせて一儲けをたくらむ。
驚いたのはこの映画プロヂューサーが台湾のホウ・シャオシェンで、制作会社も台湾。それが台湾と何の関係もない大陸の出稼ぎ農民の話を作っている。そんな時代になったんですね。都会に出てきたものの成功者にはなれない者の悲哀を見つめる視線などは人情味があって台湾的な感性かもしれません。

「陽に灼けた道」中国 ソンタルジャ監督
チベットが舞台で、母親を誤って死なせてしまった青年が自分を罰するために巡礼の旅に出る。ひたすらたった一人で荒野の道を歩く彼に途中から同行するのがひとりの老人。なぜ一緒に行くのかといえばそれは青年が心配だから、としかいいようのない善意の存在で、青年の心もしだいに癒されていく。風景もあまり変わらないし、登場人物も少ないのに豊かな映画。ここでも登場人物の微妙なこころの動きを捉えるのにデジタル撮影が威力を発揮しているように感じました。

「浄土アニャン」韓国 パク・チャンギョン監督
監督のパク・チャンギョンは「オールドボーイ」のパク・チャヌク監督の弟で映像作家。これが長編映画初監督作品ですが、ドキュメンタリーともドラマともつかない不思議な作品になっています。安養(アニャン)という都市で88年に若い女工たちが大勢死んだ火災事故のドキュメンタリーを作るスタッフたち(俳優が演じてます)が映画の事前調査をするというおおまかに流れがあって、そこに安養の歴史、風土を伝えるエピソードが重なりばらばらの断片から観客がイメージをつかみとっていくという映画。いかにも本物らしいドキュメンタリー部分と俳優によって演じられるドラマ部分が区別なく現れる画面はデジタル撮影ならではだと思いました。
監督もドキュメンタリー映画の監督役で出演。とぼけた味わいを見せています。

BLACK NIGHT
「Black Night 」主演のイ・ジェフン(左)とユン・ソンフン監督‏
「Bleak Night」(原題)韓国 ユン・ソンヒョン監督
自殺した高校生の父親は自殺の原因を知るために息子の友人を訪ね歩く。そこから浮かび上がるのはあまりにももろい人間関係だった。男子高校生のホモソーシャルな世界をデジタル撮影ならではの繊細さで描いてその痛ましさが伝わってくる作品。自殺した高校生がだれか最初わからなかったり、ちょっと解りづらいのと、とにかく痛々しい映画なので見ていて辛い映画ですが、思春期の男子の心理をこれほどまでに突き詰めて描いた映画も珍しいと思うので貴重な一作といえるでしょう。この作品は公開が予定されているようです。

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2011.10.04 | Trackback(0) | ごあいさつ

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