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第10回長岡インディーズムービー受賞結果とゲスト審査員評

8月17日に長岡商工会議所で開かれた「第10回長岡インディーズムービーコンペティション」の審査会で受賞作は以下のように決定しました。

グランプリ      「三河島ジャンケンポン」  監督 朴 美和 (22才・東京)
準グランプリ     「家族日和」    監督 下倉 功 (44才・千葉)
準グランプリ     「博士の部屋」    監督 赤羽 健太郎 (30才・東京)
審査員特別賞   「パンとキリスト」  監督 山崎 都世子 (33才・大阪)

受賞作とゲスト審査員の評は以下のとおりです。

ゲスト審査員
小林 茂            映画監督
井上 朗子           にいがた映画塾代表、映像作家
東條 政利           映画監督
五藤 利弘           映画監督
ビューラ ヨールグ      長岡造形大学 教授
杉田 愉            映画監督

「三河島ジャンケンポン」
*在日コリアンの監督作品と思われるが、子どもの頃の出来事からヒントを得た作品であろうか。子どもの頃の男の子との出会いのシーンは秀逸。そして約束。子どもの頃の約束を青年となって二人で果たすことを予感させるラストが前半と対比的に描かれる。シンプルだが力強い。しかし、同じ電車にのり続けたであろう二人の再会が不自然のようにも思える。
小林
*「映画はこういうもの」という枠にはまりすぎている。計算のしすぎ。はじまりの都電のシーンはよかった。そのまま子供の世界をつらぬいてほしかった。
井上
*最初のタイトルのデザインや、エンドロールのデザインも、作品の雰囲気を感じさせて楽しませてくれる。エンドロールも作品の一部ということを思い出させてくれた。作品として、映画的な気持ちよさを感じさせる作品。子供だった男の子と女の子が再び大きくなっていきなり登場するが、それを見る人にちゃんとあの二人だと思わせる。子供の時と同じ電車の車内という空間なのにその時間経過を無理なく感じさせてくれる。踏切のシーン。子供の二人の間を裂いて二人のつながりの終わりを告げた電車が、大きくなった二人の前にも再び現れるが、二人の間を裂くことなく去って行くシーンで、二人の可能性のある未来を感じた。まだ、荒削りなところも多いとは思いましたが、見ていて本当に楽しかったです。今後の作品にも期待します。
東條
*音楽ノートがハングル文字というのが良い。木の枝で地面に書いた地図や、遮断機で分断されるシーン、それが布石になって数年後遮断機が生きてくる使い方など上手い。エンドロールの線路もいい感じ。民族問題の取り上げ方がちょっとステレオタイプの気がするが、好感もてる作品。
五藤
*非常に魅力を持っている荒川線の路面電車をストーリーの流れの為に上手く使用した作品。子供の演技指導が素晴らしくて、映像のデュレーションにちょうど合わせたコンパクトさや見やすい話です。
ビューラ
*繊細な表現にこそ宿っているべきはずの狂気の痕跡が見当たらなかった。
杉田

「家族日和」
*離婚した夫婦、月一回、父に会う娘。その父の気持ちや娘の感情がよく伝わり、熟練した作品となっている。しかし、もう一歩、娘の気持ちに踏み込んでほしい。そうすると、車中の会話~夕食の家の情感が流れてゆくと思う。またちがう転回が考えられるかも。パンチがほしい。
小林
*役者さんの演技が魅力的になるようによくねばっている。カメラの使い方、カット割りもうまい。母と暮らす家が少しいい家すぎる気はする。新しい才能という感じではなかったが手固いつくりで、少し泣けました。
井上
*公園のシーンのあとの車の中の二人。このシーンの二人は非常に良かった。親子が別れるというだけでなく、恋人どうしの別れにも見えるなにか雰囲気も感じた。車から娘が降りて行く先は、電線が張り巡らされている。なにか、娘の先行きをはばんでいるようで、これから進もうとする未来にも不安を感じさせた。
東條
*別れた父と会いに行く娘に対する母の態度、「学校はどうだ?」、誕生日プレゼントなど、エピソードや展開、セリフにもう少し新しさが欲しい。やろうとしていることは大切なことだと思う。作り方が感傷に浸っているのが独りよがりの気がした。観る側がおいていかれる感じがするのが残念。それでもこうした人間を見つめる作品を作り続けてほしい。
五藤
*現在の世界に必要なテーマで感動できるプロフェッショナルな作品。ただ、ストーリーを伝えるためのシーンと主人公の特徴を表現するためにステレオタイプをよく使っているのは少し問題。
ビューラ
*主人公である娘の肉体と声に説得力が無く脚本をなぞっているにすぎない。登場はわずかながらも不穏な佇まいを感じさせる母が存在感を放っていた。
杉田

「博士の部屋」
*奇抜な発想とそれを支える美術、役者。異空間に紛れ込んだ感覚に遊ぶことができる。数日間、絵の中の植物の成長と顔にはえた植物の対話によって、自らの生命力を取り戻す。もっとだいたんでもよかったかもしれない。
小林
*彼女の踊りが素敵でストーリーなどいらないくらいだった。この作品はこの作品でいいと思う。ほかの作品と比べにくい。
井上
*発想が面白い。ただ、植物学者という設定の男が、研究室の部屋の美術も含めて、植物学者に見えず、作品に入りこめなかった。もっと、リアリティを問題とさせないような作りにできれば良かったのにと思いながら見た。
東條
*何かの展開を期待させるはじまり、タイトルの入りなどセンスが感じられる。アイデア、映像、美術センスがいい。展開がどうなるのか、楽しみに観ていたら、ちょっと抽象的になり過ぎた感じがした。花が咲く理由もストーリー展開にうまくつながればもう少しよくなる気がする。惜しい。
五藤
*たくさんアイデアを持ち、1つの読解方向に限られないストーリー。ダンスのシーンもショートムービーの流れと上手く繋がっており、全く文句無しのカメラワークと編集技術ですごく楽しんで見られる作品です。
ビューラ
*映画では語りきれないこともある。それをふまえた上で表現していた唯一の作品。惜しむらくは監督と主演女優とが共犯関係で結ばれていくまでには至ってないこと。
杉田

「パンとキリスト」
*ドヤ街の中にあるキリスト教会を舞台にしたことはわかるが、何をいいたいのか。よくわからない。パンをもらうためにホームレスの人が集まる姿から何をいいたいのか。その人たちが、それがきっかけだけれども、信仰をもつようになるということなのか。音声にインサートを続ける構成。教会から出される人にカメラがいかない。分からない。何かひとつ言いたいことを言ってほしい。
小林
*何を言っているのか、よくわからないんだけどおもしろい。作家が何をしたいのかはわからないんだけど、おもしろい撮影素材を見つけたもんだと思う。自分の痛みなどあるともっと別のおもしろさがあるんだけど、無理しなくてもいいかとも思う。
井上
*教会の中で説教しているのに、全く聞く気もなく座っている人もいる。寄せ場のおっちゃんたちは何で教会に説教を聞きに来ているのだろう?野宿している人は外の寒さをしのぐためか?パンのためか?たぶんどちらもそうなんだろうと思って見る。教会の中での説教シーンが続く。アジテーションのように説教をする牧師。おっちゃんたちには全然、言葉が届いていないように見える。どういう思いでここにいるのだろう。最後に、野宿者の一人が、「来るという行為が自分自身の精神生活を支えている」と言った。キリストの教えがどうかというより、そこに集まらなければ彼の精神生活が支えられない、その孤独感を強く感じて、胸を打たれた。
東條
*弱い人に目を向けようとする姿勢は好感持てるのだが、取材対象の人々から何を描こうとしているのか分からない。ハーモニカを吹いて、「上手いですね」だけでは何を伝えたいか分からない。
五藤
*内容的に、そしてそれに合わせた表現に関して素晴らしい作品。ドキュメンタリー映像に沿ってキリスト教の布教活動とホームレスの普通では見えない世界を覗くことができるからすごく面白い。キリスト教の思想の狭さと現在の衰退した状態、その上、宗教の基本的な機能と本質を上手く視覚的に表現できました。考えさせられるものです!
ビューラ
*風呂敷を広げてしまったものの、丁寧に畳むべきかそのまま放置するべきか作者にも分からなくなったのでは、でもそれが狙いなのかも。最高点はつけたが。
杉田

また最終審査に残った作品とその評はこちらにアップしました。
http://www.mynet.ne.jp/~asia/

9月15日16時10分からのプログラム「長岡産ムービー産地直送+第10回長岡インディーズムービーコンペティション」の枠内で授賞式と「三河島ジャンケンポン」「家族日和」「博士の部屋」の上映をします。また授賞式には朴監督、下倉監督、赤羽監督が出席予定です。
無料上映になりますのでぜひご参加し映画界への新しい息吹を見てください。

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2008.09.01 | Trackback(0) | 長岡アジア映画祭

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