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第7回大阪アジアン映画祭

*S東京特派員の映画祭巡礼記。今回は「第7回大阪アジアン映画祭」です。
「セデレック・バレ」を筆頭に高い評価を得て興業的にも成功している台湾映画への焦点が強いようです。

http://www.oaff.jp/

第7回大阪アジアン映画祭に行ってきました。今年も魅力的なラインナップです。国内のほかの映画祭と時期がずれていることと、お正月映画が公開されたあとの開催ということで作品性と娯楽性がそろった作品が揃えられるという利点があるのかもしれません。台湾映画が好調なのはここ数年の特徴ですが、今回特集がくまれた香港映画も一時期の空虚な時代劇大作、なれない中国本土との合作を経て復調が感じられました。しかし今年の大阪アジアン映画祭は「セデック・バレ」完全版の初上映、これに尽きるのではないでしょうか。そう感じさせるほどの衝撃作でした。
それではその「セデック・バレ」の感想から。

「セデック・バレ」のウェイ・ダーション監督(右)「セデック・バレ」のウェイ・ダーション監督(右)
「セデック・バレ 虹の橋」台湾 ウェイ・ダーション監督
日本初上映。台湾を日本が統治していた時代に起こった原住民(セデック族)の武装蜂起事件「霧社事件」の映画化。前後編の2部作で合計4時間30分の大作。前編は日本の台湾統治の始まりからで、いかに日本人がセデック族を差別し、彼らの文化をないがしろにしてきたか、つまり彼らの怒りが爆発するまでを描いているようです。ようです、というのは前編を見ていないためで、前編の最後に蜂起したセデック族がちょうど運動会を開催中の小学校を襲撃し日本人を皆殺しにするクライマックスは未見です。ここは現在のCG技術を駆使した場面のようです(セデック族は首狩りの風習があります)。後編は制圧に乗り出した日本軍とセデック族との戦闘シーンが大部分を占めますが、最終的に蜂起したセデック族がほぼ全滅するまでを克明に描きます。日本人俳優も多数出ていて、安藤政信、河原さぶなど皆好演。とくに安藤政信は原住民の言葉も解す友好的な巡査役で、すばらしい演技。前編には木村祐一も事件の直接的なきっかけを作る役で出ています。
この映画が重要だと思った点はふたつあって、文化と文化の共存の問題、生命の重さといったテーマと、約100年前の先住民と日本人という製作者にとってよく知らない民族。そんな対象であっても徹底的に調べ上げ、その上で想像力をめぐらせて当事の人々がどんなふうに感じ、考えて行動したかを映像化することが可能なんだということを教えてくれたことです。完全版といわれている今回の上映ですが監督が日本の観客に配慮してカットしたシーンも少しあるとの情報もあります。一般上映(されるべき傑作であることは間違いないです。ちょっとCGがへぼいところがありますが)のときは完全ノーカットでの上映を期待したいです。


「LOVE 」ポスター#8207;
「LOVE」中国・台湾 ニウ・チェンザー監督
日本初上映。現代の北京、台北を舞台に4組の男女のそれぞれの「愛」を描く群像劇。「モンガに散る」の監督の3作目ですが、より大規模で複雑、登場人物も多いストーリーをたくみに見せています。出演者も豪華で「モンガに散る」からイーサン・ルァンとマーク・チャオ、10年の大阪アジアン映画祭で上映された「聴説」に出ていたエディ・ポンとアイビー・チェン、「台北の朝、僕は恋をする」のアンバー・クォといった若手にスー・チー、そして中国からヴィッキー・チャオが出演。もちろんニウ・チェンザー監督も出演しています。撮影はリー・ビンピン。基本はからみあった恋愛ドラマですが最終的にはもっと普遍的な人と人との間の愛情みたいなものに集約されていく話(一種の家族愛ともいえそうですが)で、台湾映画のやさしさにまたしてもやられてしまいました。最後はすごくいい気分で終わります。あと、香港の映画監督が大陸で映画を撮ってどれもイマイチな作品しか残せない中でごく自然に映画になじませているのもすごいところ。それから福島の原発事故に関する会話があったのを見たのは海外の作品では初めてでした。

「星空」ポスター#8207;
「星空」中国・台湾・香港 トム・リン監督
日本初上映。「九月に降る風」のトム・リン監督の新作。今回は「サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋」や「ターンレフト・ターンライト」など映画化も多いジミーの絵本が原作。
少女の母親役はレネ・リュウ。ゲスト出演にグイ・ルンメイとなかなか豪華です。
両親の不仲に加え、大好きなおじいちゃんとの別れで打ちひしがれた少女は同じ孤独を持つ転校生の少年と共におじいちゃんの山小屋に向かう。1ピースが欠けたジグソーパズル、おじいちゃんの作りかけの足が一本足りないゾウの置物。といった小道具にも少女の喪失感が反映されているよう。トム・リン監督はファンタスティックな絵本の世界を映画にうまく移し変えています。
主人公のシュー・チャオは「ミラクル7号」でチャウ・シンチーの息子役を演じた女の子。今回はかわいらしい台湾の中学生姿を披露しています。主演女優に変なかっこうをさせるチャウ・シンチーのせいで男役でのデビューでしたが、あのチャウ・シンチーが抜擢した少女という肩書きは絶大のようでこの後も韓国映画への出演などが続いているようで活躍を期待したいです。

「熊ちゃんが愛してる」台湾 チェン・フェンフェン監督
日本初上映。テディベアの愛好家からテディベアを預かり旅をさせるというツアーのガイドをしている青年が交通事故にあい、大切な預かり物のテディベアをなくしてしまいます。そのことがきっかけでテディベアの持ち主たちと青年は旅に出ることになり、その過程でテディ・ベアが心の友という孤独な人たちがまるで家族のようになり、それぞれが人との結びつきを回復していくという展開。ちなみに交通事故の現場からものが持ち去られるのは台湾ではわりとふつうのことだそうです。
10年の大阪アジアン映画祭で上映された「聴説」のチェン・フェンフェン監督の新作。今回も心温まるストーリーでした。

「高海抜の恋」ポスター#8207;
「高海抜の恋」香港 ジョニー・トー監督
日本初上映。ジョニー・トーは多作な監督で、商業作品を撮る一方で、犯罪映画で映画マニアをうならせてきた人ですが、渋いキャストの犯罪映画に比べ大スター主演の恋愛映画やコメディはイマイチ…という印象でした。それがどうも最近変わってきたようでこの作品もルイス・クー、サニー・チェン主演の恋愛ドラマですが行方不明の夫を待ち続けるホテルの女主人と大スターの恋という設定はよくある話ながらむちゃくちゃ感動的な映画になっていました。ラスト、ルイス・クーが映画でサニーに救いを与えるというとんでもない展開がすばらしすぎます。独特なアイデアだなあと思ったらやはり脚本がワイ・カーファイ(ヤウ・ナイホイと共同)でした。未見ですが去年の大阪アジアン映画祭で上映された「単身男女」もすごい(変な)作品だったらしく、ぜひとも劇場公開していただきたいものです。

「2番目の女」のキャロル・ライ監督(左)と監督の夫で共同脚本のライ・ホーさん(右)
「2番目の女」のキャロル・ライ監督(左)と監督の夫で共同脚本のライ・ホーさん(右)
「2番目の女」香港・中国 キャロル・ライ監督
海外初上映。双子の姉妹に愛された男。三角関係がある事件を引き起こす。双子をスー・チーが一人二役で演じます。男はショーン・ユー。スー・チーは性格の異なる姉妹を演じわけ、しかもそれぞれの複雑な心理状態もたくみに表現していて、正直こんなに演技ができるのかとびっくりしました。最近のお色気要員的な使われ方とはまるで違って見ごたえがありました。ショーン・ユーは美人姉妹に好かれる人のよさと優柔不断さがぴったりくるキャスティングでナイス。
キャロル・ライ監督は「恋の風景」しか知らなかったのですがその後「地獄第19層」などホラー映画を撮っている人なのでこれもホラーかと思いましたが、ホラーではなく実はサスペンス映画。
監督の発言を聞くと女性独特の孤独感や嫉妬心、競争心を描きたかったそうで、そちらが主体ではあるのですが、一方で中国映画ではあまりないミステリー映画でもあって、ちゃんとトリックを使った謎解きもあり、ミステリーとしても楽しめる心理サスペンス映画でした。

シュー・ハオフォン監督(左)とプロデューサーのリー・ルイさん(右)
シュー・ハオフォン監督(左)とプロデューサーのリー・ルイさん(右
「刀のアイデンティティ」中国 シュー・ハオフォン監督
日本初上映。ある町に自分の流派の道場を開こうとする男がやってくる。道場を開くには武道家の掟により既存の道場主と戦って勝たなければならない。男の流派を邪道と見た道場主たちは男の挑戦を拒み、始末しようと企む―
監督はこれが第一回監督作品ですが、武侠小説家でもあって、実際の資料に基づいた武道家の実態がこれまで見た映画のどれとも違ったアクションを生み出していてむちゃくちゃ新鮮。なにしろ武道家であってもけっしてアウトローではなく道場を開く経営者であったり体制内生活者なのでそんなにすぐ殺し合いになどならないのです。いわば「実録・道場破り」。監督は舞台挨拶でこの映画では歴史というものを描きたかった。という趣旨の発言をしていました。歴史がどう作られ、大衆がそれをどう伝えていくのか、ということが。今の香港映画の超人たちの実際はこんな感じだったということかもしれません。あと、独特な間とユーモアもあってそこも魅力でした。

「ナシレマ2.0」のNamewee監督(中央)Namewee監督
「ナシレマ2.0」マレーシア Namewee監督
日本初上映。雨上がり決死隊の宮迫似のNamewee監督はミュージシャンで本作の主演も務めています。中国文化至上主義のいやみなシェフを演じ、料理対決を経てたマレーシアの多様な民族文化にふれ中華系以外のマレーシア人を認めるようになるというストーリー。道徳的なストーリーですが、主人公の差別意識がすさまじくてかなりブラック。低予算で出演者はほとんどがミュージシャン(監督の知り合いか?)ということですが、そこも逆にマレーシア音楽に興味ある方には魅力かも。ヒロインのげじげじ眉の女の子も本来は歌手で素顔は美人。ヒロインにブスメイクをさせるのはチャウ・シンチーの影響かも。マレーシアでは大ヒットした作品ですが、国内ネタが多く外国人では10%ぐらいしかわからないでしょうと監督は言いますが、わからなくても充分爆笑し、楽しみました。監督の笑いのセンスは世界共通だったと思います。そして日本公開の際にはぜひこの映画のネタをすべて解説したパンフレットを製作してほしいものです。それがマレーシアのカルチャー事典になるのはまちがいないでしょう。

「P-047」プロデューサーのソーロット・スクムさん(左)プロデューサーのソーロット・スクムさん(左)
「P-047」タイ コンデート・チャトゥランラッサミー監督
日本初上映。小説家志望の男に誘われて他人の家に侵入を繰り返す男。その家の住人のようにふるまって過ごすという遊びのようなものだったが、住民のパソコンを使ったことから取り返しの付かない事件を引き起こしてしまう。というところまでは普通に進むのですが、そこからは現実か夢かよくわからない展開になり難解。時間経過もばらばらにしているので、観客にはそれを組みなおして理解する作業が求められ、私などはぜんぜんわかりませんでした。監督のコンデート・チャトゥランラッサミーは商業映画の実績もあるのですが、今回初のインディペンデント映画で、今までにない内容に挑んだものであったようです。娯楽性はあまり考えない実験的な内容ですね。タイトルはある地点を表す記号。ふたつの座標が交わってひとつの地点が示されることを象徴的な意味で使っているようでP-047自体に意味はないみたいです。

ソンヨット・スックマークアナン監督(左)と主演のパチャラ・ジラーティワット(ピーチ君)(右)
ソンヨット・スックマークアナン監督(左)と主演のパチャラ・ジラーティワット(ピーチ君)(右)
「トップ・シークレット 味付のりの億万長者」タイ ソンヨット・スックマークアナン監督
海外初上映。味付けのりの販売で19歳で億万長者になった実在の人物をモデルにした映画。この実話を知った製作者が若者に勇気を与えたいと考えて映画化したということで、この主人公の会社サイドから持ちかけられたわけではないとのことです。この主人公を英雄視したり、会社の宣伝と見られるのは避けたかったと語る通り、成功者の話ながら映画のほとんどの部分が失敗のエピソードで占められています。中にはいくら10代の青年のしたこととはいえ、呆れるような話も多いです。モデルになった青年に取材して実際にあったエピソードを取り入れているようで、若者に失敗を怖れず行動してほしいという意図が込められているようです。

「ラブリー・マン」のプロデューサー、ボビー・スルジャディさん#8207;
「ラブリー・マン」のプロデューサー、ボビー・スルジャディさん
「ラブリー・マン」インドネシア テディ・ソエリアットマジャ監督
日本初上映。幼い頃に家を出た父と娘が再会する一夜のドラマ。探し当てた父親は女装して夜の街に立つ男娼だった。敬虔なイスラム教徒の娘とはあまりにもちがう世界に生きる父親ですが娘が抱えるある問題をきっかけに途切れていた絆がよみがえるところには感動しました。この映画にはインドネシアの首都ジャカルタの夜の世界が出てきますが、こういったことがあるという現実は映画ではあまり描かれてこなかったようで、それもおかしいだろうということであえて父親の職業をこの設定にしたようです。父親役のドニー・ダマラはかつてのアイドル的な人気のあった人のようで、たしかに今も素顔は渋い中年の魅力があります。女装も似合ってます。娘役のライハヌン・ソエリアットマジャは映画の中での設定では19歳で、すごい美少女(実際には23歳)。しかもなんと監督の奥さん!というのには驚きました。

「サニー 永遠の仲間たち」ポスター#8207;
「サニー 永遠の仲間たち」韓国 カン・ヒョンチョル監督
日本初上映。今回1本だけ見れた韓国映画で、来月には劇場公開も決まっている作品ですが、いやあ、面白かったです。場内大爆笑。そして最後は号泣でした。監督は「過速スキャンダル」のカン・ヒョンチョル。前作も海外マーケットなど意識しない純国内向け内容ながらその面白さは抜群で大ヒットだったわけですが、今回も80年代ノスタルジー、韓流スターの出演なし、しかも主演は中年女優たち!というヒット狙い皆無なのにこれまた大ヒット。すばらしい。
男性中心社会の韓国の中で自分を殺して夫のため、こどものために生きざるを得なかった女性に対してこんなことでいいのかと世の中に問う強烈なアンチテーゼ。夢物語といわば言え、人間生まれたからには幸福にならなくてどうするのだ!という主張が胸を打ちます。これぞ笑って泣ける韓国娯楽映画。韓流スター出てないからといって見なかったら損です。ぜひ劇場へ!

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2012.03.26 | Trackback(0) | ごあいさつ

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