ショートショート・フィルムフェスティバル&アジア2012
*S東京特派員の映画祭巡礼記。
今回は仁後亜由美さん特集と化した“ショートショート・フィルムフェスティバル&アジア2012”です。
http://www.shortshorts.org/
仁後さん最新作「冬のアルパカ」も上映される「原田裕司特集上映 feat. ニゴリン」は
6月30日より東京・下北沢のトリウッドで7月13日まで公開されます。
http://homepage1.nifty.com/tollywood/
初日の6月30日は16時~、20時~両方の回ともに
上映後に監督、キャストの舞台挨拶がある他、
この日にお越しいただいたお客様に長岡造形大生が撮影・編集・制作した
「冬のアルパカ」メイキングDVDがプレゼントされるそうです。二ゴリンさんとS東京特派員
ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2012に行ってきました。
短編映画の映画祭としては日本最大の規模の映画祭でしょう。コンペ部門の最優秀作品はアメリカのアカデミー賞のノミネート候補作になるということですからすごいものです。今年は4543本の作品が集まり、選考で選ばれた79本の作品が上映されました。
今回注目したのは去年の長岡アジア映画祭のインディーズムービーコンペティションでグランプリを受賞した「壁女」の主演、同じ原田裕司監督で長岡ロケの「冬のアルパカ」でも主演を勤めた仁後亜由美さん主演の「カリカゾク」(塩出太志監督)。
「壁女」ではOLだった仁後さん、今回は高校生役!クラスメートに名前も覚えてもらえないような地味なおとなしい女の子が自分のことしか考えてない両親についにブチきれてある行動に…というストーリーで、ダメな大人たちに対して主人公の正常さが描かれる前半、まともゆえに突飛な行動に出てしまう後半をそれぞれ納得させる仁後さんの演技はぜひ見ていただきたいものです。
短編映画5~6本を1つのプログラムにして上映するやり方で、「カリカゾク」もほかに2本の日本人監督の作品と韓国映画、イラン映画が1本ずつという組み合わせで上映されました。
あまり起承転結にこだわらないスケッチ風の作品が多いのが日本の作品の特徴だとすると、きっちりしたストーリーが海外の作品だといえましょうか、今回見た韓国とイランの作品はどちらも見ごたえがありました。
「隠された真実」(韓国 キム・ソギョン監督)これは傑作でした。これが実際にあった事件を元にしているというのもショッキングですが、ヒロインの心理、行動が過不足なく書き込まれこれで23分しかないのが信じられないくらいでした。意外なオチがあり、余韻を残すエンディングと短編映画のお手本のような映画。ヒロインがどんな人物なのか、ラストのほうである人物の口から語られて、それでヒロインがとった行動の理由が観客にもわかるのですが、これがまた皮肉な効果をあげていてよかったです。
「道の途中で」(イラン Vahid Hajilooi監督)雪で通行禁止の山道を進んだばかりに立ち往生するタクシーの運転手と客。聖職者用の祭壇を届けるためにムリをしたのが発端で、信仰心が客観的な事実を無視し、破滅をもたらすという寓意がずばり、込められているように感じました。
短編映画は長編映画とはちがった魅力があり、長編映画の短縮版でもなければ長編映画の一部分を取り出したものでもない独自のジャンルですがそういった認知がいままで一般に広く理解されていない状況があり、それを打ち破るのがこのショートショート フィルムフェスティバルではないかと思います。厳選されたコンペ作品、すでに多くの映画祭で上映された招待作品など良質の作品が上映される機会なのでぜひ多くの方に見てもらいたいと思います。特に映画好きでも短編映画を見たことがないなんて人はぜひ!短編映画見ないなんてもったいないですよ。
右から岡村悠太監督、古田ひろひこ監督、キム・ソギョン監督、塩出太志監督
2012.06.22 | Trackback(0) | ごあいさつ
