やくざ風情が何が愛だよ

S東京特派員は韓国出張を経て韓国映画ショーケースを観賞。
「ヘンゼルとグレーテル」を観終えてから新宿に合流しました。
http://www.cqn.co.jp/ks2008/
韓国ではお仕事の合間にDVDの掘り出し物を探して映画はチャ・テヒョンの「スピードスキャンダル」や3D版「ポーラ・エキスプレス」を観賞。そして今回は舞台にも足を運び「タンポポ、風になって」を観劇したそうです。主役はキム・ギドクの傑作「悪い男」のチェ・ジョヒョン!と円高の韓国を満喫したようです。ちなみに他の劇場では「笑の大学」の舞台もあったそうです。

タンポポ
フェファ、トンスンアートセンター(入り口の上に「タンポポ、風になって」の垂れ幕)

そしてS特派員の韓国映画ショーケース2008のレポートが届きましたので紹介します。
いつもありがとうございます!

「サグァ」
監督 カン・イグァン 出演 ムン・ソリ キム・テウ イ・ソンギュン
制作は05年でその年の東京フィルメックスでも上映された作品ですがお蔵入りになって韓国でもようやく今年公開された作品です。
監督の舞台挨拶もあったのですが、その辺の事情は説明はなかったです。
ひとつの恋の終わりから新たな恋へ。そして愛情の持続についての心のうつろいをじっくり描いた映画です。
良心的な映画だと思いますがムン・ソリはミスキャストのような気がします。「私の生涯最高の瞬間」のムン・ソリは良かったんですがねえ。

「セカンド・ラブ」
監督 キム・ジナ 出演 ヴィラ・ファミーガ ハ・ジョンウ
アメリカ・韓国合作映画。主演のヴィラ・ファミーガは「ディパーテッド」で精神科医だった人ですね。アメリカが舞台でキャストもハ・ジョンウ以外はアメリカ人です。
裕福な韓国系アメリカ人の夫を持つヒロインはなかなか子供が出来ず夫の家族からプレッシャーを受けているのですが、検査の結果夫の精子に問題があることを知ります。なんとか子供を得たいと思った彼女は思いつめ、病院で出会った不法滞在者の韓国人に契約セックスを持ちかけます。
どうにもむりやりメロドラマにしようとしている設定に思え、がんばってはいると思いますが不自然さをぬぐえない映画でありました。ポルノ的画面も商業的な要請で挿入しているようであまりいい印象はありません。しかしアメリカ人になっても子孫第一の韓国人メンタリティというのはこういう映画のテーマとなりうるものなのだなあと考えさせられました。監督は脚本も書いていて女性です。

「目には目を」
監督 カク・キョンテク アン・クォンテク 出演 ハン・ソッキュ チャ・スンウォン
スゴ腕の刑事をハン・ソッキュが、その刑事を相手に完全犯罪を挑む犯罪者にチャ・スンウォンが演じます。
ハン・ソッキュは大スターですが最近いまいちの作品が続いています。理由は色々あると思いますが、あまり実績のない監督と組むことが多い(多くは新人だったりする)ことと、共演者がハン・ソッキュに対等に勝負できるものでなく、ワンマン・ショーになってしまう内容のまずしさがあったと思います。
しかし今回監督は「友へ チング」のカク・キョンテクと「マイ・ブラザー」のアン・クォンテク。なぜ共同監督なのか分かりませんがどちらも実績のある監督ですし、共演者はチャ・スンウォン。ダブル主演と言っていい強力なコンビで、今回は期待しました。
が、しかし期待というか希望はかないませんでした。
今ごろ「ヒート」かよ…スターふたり揃えてこんなことがやりたかったの?
周回おくれのトップランナーみたいな映画でした。はでなシーンも多いですが全体的に見せ方が下手。
とは言えこんなアクション映画を作れてしまう韓国映画は日本映画にくらべてはるかにうらやましいですが。

「あの人は遠くへ」
監督 イ・ジュンイク 出演 スエ チョン・ジニョン オム・テウン
71年。韓国はベトナム戦争に参戦していました。兵役についた夫(オム・テウン)と妻(スエ)。彼には愛人がいて夫婦仲はひえきっています。
愛人に去られた夫は自棄になり暴力ざたをおこしベトナム行きになってしまいます。なにも知らされなかった妻はベトナムからつれて帰るといきまく姑を思いとどまらせて自分がベトナムに行くことを決意します。女の意地です。歌が好きだった彼女は慰問団の一員としてベトナムに渡ります。映画ではこの慰問団というかバンドがかなり規格外であまりリアリティがないように感じますが、このリーダーがチョン・ジニョン。
いつもはカリスマあふれる彼も今回はスエに圧倒されてます。ただの田舎者だったスエは音楽にめざめどんどん変わっていきます。この変化は見物です。
戦場ではこの音楽がバンドを何回も救います。音楽の力というメッセージが見るほうに感じられます。
とはいえ今回は戦争が題材でありなにもかもめでたしめでたしでは終わりません。かなり辛い展開になります。
もともとの発端もかなり不条理な動機から発生した物語なのでもうちょっと語り口を統一してある種のコメディとして見せたほうが見やすかったかもしれないと思ったりしました。

「お熱いのがお好き」監督 クァン・チルイン 出演 イ・ミスク キム・ミ二 アン・ソフィ
一年間も同じシナリオを直し続けている脚本家の卵のアミ(キム・ミニ)は舞台美術の仕事をしている姉(イ・ミスク)の家の居候。イ・ミスクには高校生になる娘(アン・ソフィ)がいる。この世代のちがう3人の女たちのそれぞれの恋愛模様を描いた作品。
男なんか必要なときにいればいい、とでもいうかのような恋愛描写はちょっと、という感じだけどとにかくセリフがよくて、見ていて楽しい映画でした。
特にあまりこれまでパっとしなかったキム・ミニがはじけたキャラクターを演じて魅力的。すごくよかったです。

「待ちくたびれて」監督 リュ・スンジン 出演 ソン・テヨン チャン・グンソク チャン・ヒジン ハン・ヨルン
兵役によって離れ離れになったカップルたちの物語。韓国の男子が必ず通る道。兵役。
その期間は2年間。恋人がいても2年間はほとんど会うことができなくなってしまう。
その困難を恋人たちは潜り抜けることができるのか?
映画は4組のカップルが登場して2年間の年月を描きます。
兵役は日本人からすれば特殊なことですが韓国人にすれば特別な経験ではあってもある意味だれもが経験することでもあり、映画のなかで描かれる恋はかなり共感できるものであるとか。
そんな兵役を日常てきな出来事として等身大にえがいたちょっと今までに無いタイプの作品でした。
しかし軍の撮影協力は得られず映画に出てくる入隊式や行軍シーンなどはすべて映画用に準備しなければならなかったそうで、これはちょっと大変だったと思います。
なぜ協力が拒否されたかというと映画の中のカップルのうち何組かが分かれてしまうのが兵士の士気を低下させるから、だとか。
しかし現実でもカップルが兵役中に別れてしまう確立は80%らしいのでこの比率を映画の中でも大体あっていて、かなり軍に考慮した内容になっていると思うのですが…
4組の中では監督と一緒にティーチインに登場したチャン・ヒジンの片思いのエピソードがよかったです。

「ベイビー・アンド・ミー」監督 キム・ジニョン 出演 チャン・グンソク キム・ビョル
家は大金持ちで金に困らずイケメンで女にも不自由しない不良高校生ジュンス。
その素行を改めさせるために両親はわずかな金を残し家出。
これを機会に息子が改心してくれればとの親心からだが、とつぜん親にあいそをつかされショックを受けたところに更なる災難が。「あなたの子供です。育ててください」と書かれた紙と一緒に赤ちゃんが置き去りにされていたのだ。
心当たりがありすぎるジュンスは母親を探しつつひとりで赤ちゃんの世話をするはめになる。
そのどたばたの奮闘記。マンガとしかいいようがない設定なのにそれに徹し切れてない詰めの甘さがあり、映画に没頭して大いに笑える、というところまでいかないところがちょっと歯がゆいところですが、主人公に一目ぼれしてしまう変人の女の子キム・ビョル(役名も同じ)がとにかくキュート。

「ヘンゼルとグレーテル」監督 イム・ピルソン 出演 チョン・ジョンミョン シム・ウンギョン
山の中の道を車で運転中に事故を起こし夜の森で道に迷ったウンス(チョン・ジョンミョン)は明かりをもって現れた少女の助けで彼女が住む森の中に一軒家にたどり着く。そこでは彼女の両親と兄と妹がいた。しかしどうも様子がおかしい。両親は子供たちを恐れているようだ…
映画版「トワイライトゾーン」を見た人ならあまりにそっくりな話でびっくりするんじゃないかと思いますが、そうです。そのまんまです。
しかし「ヘンゼルとグレーテル」をモチーフに取り込んで虐待を受けたこどもたちのかなしみに大きく比重をかけているのと、結末の違いで独自の魅力をもった映画になっています。見所はウンスと3人の子供たちの2回の対決場面。こどもたちの大人に対する不信を否定しきれないウンスの苦悩はチョン・ジョンミョンの演技もあって感動的です。2回目の対決は正直最後がどうかと思うのですが(伏線不足かなと)こどもたちのかなしさが感じられてなんともいえない余韻を残します。ファンタジーという形式を生かして日常ではできないテーマを描くという点では正しいファンタジーのあり方を示している映画だと思います。
いろいろつっこみどころはありますが。ちなみに土曜日から会場になんかやたらかわいい女の子がいるなあと思ったらシム・ウンギョンちゃんだったみたいです。中学生ぐらいの女の子の観客なんていないですよね。ふつう。

以上8本。「クロッシング」以外は見ることができました。「クロッシング」は公開が決まっているので公開されたらみようと思います(平日に1回だけの上映なのでちょっとムリ)。
今回ちょっとプロジェクター上映が多かったのが気になりました。
フィルムは「サグァ」「あの人は遠くへ」「目には目を」「クロッシング」の4本だけで他はプロジェクター上映。ハイビジョンではない標準画質で大スクリーンに上映できるのは技術の進歩を感じますがフィルムとの差はやはりわかります。その点ちょっと残念でした。

韓国クリスマスツリーカンビョン、テクノマートのクリスマスツリー

2008.12.19 | Trackback(0) | 当会の活動報告

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