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ぽっと 灯りが 燈るような



『第13回長岡アジア映画祭』 9月20日 「花の夢 ある中国残留婦人」
上映後、東志津監督、観客とのティーチインを中心に

MC ここで皆さんから監督に質問や感想がありましたら手を挙げていただけませんでしょうか。
女性の方
「最初の旦那さんがどういうふうになられたのか、その最初の旦那さんとの決着のつけ方といいますか、関係のつけ方。
身籠っておられた息子さんも生きておられたっていうのにちょっとびっくりしたんですけども、、、その辺りは映画で触れられていなかったので、どういうふうにお考えになったのか伺い出来ればと思いす。」
東監督
・はい、やっぱり気になりますよね。あえて映画の中へは入れなかったのでこういう場で、お話しして聞いて下さる方がいない限り永遠の謎で終わるんですけども。
旦那さんはあの召集の後に新京という街に召集されまして、満洲の当時の首都なんですけども、新京に召集されてそのまま戦争が終わってしまったのでシベリアにも行かずにすんで、そのまま日本に帰って来れたんですね。
日本に帰らなくちゃいけなかったんで、栗原さんのことを捜すこともできなくて結局二人はそのままバラバラに別れ別れになってしまって、その日本人の旦那さんは日本で別の方と結婚して栗原さんとは違う道を歩んだという結末で。
その後に一時帰国1975年に里帰りという形で栗原さんが一時帰国をするんですけども、その時に二人は再会して無事を確認しあったというお話があります。

男性の方
「あのう、只今の映画の栗原さんとですね同じようにやはり満州で敗戦を迎えてですね、みんな先程の映画のようにみんな死ぬ思いをしてやっとの思いでね、いろんなことがあるんですが、やっとの思いで日本へ来た。
それで栗原さんとは違う方が、ただ同じひどい目に遭った方が今、東京の地方裁判所で訴訟を起こしているというのを新聞で私、拝見したんですよ。
いづれその辺の判決が出ると思うんですけどね。その方の今迄のを見ると国の対応が非常に国策として送っていながらあういう目に遭ったらね全然見向きもしない。
今度司法に訴えたら救いの手を早く打つ、国の責任でね。生活その他をしていけるように面倒を見るのが日本国政府の立場だろうと私は思うんですよ。
その点、こういう映画を作られて、おそらくあたしなんかより以上にこういうお話を聞いてると思うんですよね。そういうようなことをどのようにお考えですか?」
東監督
・はい、そうですね。いろいろ裁判とか残留婦人の方々が裁判を起こしているというのも聞いてますし、何よりもやはり栗原さんは2回国に裏切られたっていうんですよね。
満州に行く時に騙されて、帰ってきてからも裏切られて、栗原さんの中では1回目はそういう時代だったから自分も行くことを選んだから、それは自分の責任かもしれないなというのはおっしゃってるんですけども、帰ってきてからのその日本政府の冷たさ、対応っていうのは本当に悔しかったって言ってますね。お金とか保障とか云々というのももちろん大事だけども、一言「ごくろうさまでした」
その言葉さえ聞けたらどんな良かったかって思うって今でも本当におっしゃってます。
やっぱり一番大事なことはもちろん国の責任だし、政府が具体的にどういう政策をしていくかというのはもちろんなんですけども、それよりももっともっと前に私達がもっと興味を持って関心を持ってこういう人達が自分達の身近にいるんだっていうことを身に染みて感じて、一般の人達がこういう問題をほっといてはいけないんだっていう、そういう心の持ち方がやっぱり一番大事だなって思うように映画を作りながら、そう思ってたんですね。だからやっぱり国を動かしていくのは私達一人一人だし、もちろんこういう満州の歴史っていうのはなかなか日本では語りたがらないだとか、語られにくいんですよね。
だから原爆とか広島・長崎のこととか東京大空襲とかっていうのはよく平和教育で語られるんですけども、満洲の問題を語るにはまず日本が外国で何をしたかっていうことを説明しなければいけないので、なかなかこう一般の人もなるべくなら聞きたくないっていう、そういう歴史なのでなるべくなら語りたくない、あまりこう受け入れられにくい歴史ではあるんですけども、こういう歴史が存在するっていうこともまず私達がもっと強い意識を持って日本人があの時代にどういうふうに生きてきたかってことをもっと知ろうとする、特に若い人達なんかは知ろうとする努力が凄く大事だなあと思うし、そういう気持ちがいつかいろんなものといろんなことを動かして行くんじゃないかと思うというか、そうなって欲しいと思いながら私は映画を作っています。
こういうことしか言えないんですけども、すいません。

女性の方
「映像の作り方というか猫がとっても凄くいいバイブレーヤーになってたりとか、戦争のそのままの映像を映すんじゃなくて、効果音でそれを思い起こさせる。
テレビのドキュメンタリーだと結構どんどん情報が語られて、なんていうんですかどんどん情報が来る感じですが、間が凄く効果的に使われていて、かつあの効果音が凄く子どもの声とか印象的に使われてるなあと思ったんですが、どういう所から着想を得られたのか、手法的に作品ごとに変えていらっしゃるのでしょうか?」
東監督
・ありがとうございます。この作品が最初の作品なのでこういうことが通用するかどうか自分でもわからないんですけども、この映画に関してはこういう見せ方がベストだろうなと思ったし、一緒に作っていたスタッフもそういう方向に行ったんでこういうふうになったんだなと思います。
映画でして味わえない感覚なんだと思うし、こういうテーマであるけどあくまで映画を作りたいなと思っていたので、映画として面白いというか楽しめる映画に作品にしたいと思いました。
映像に出なくてもその当時の戦争の様子とか映像が出てこなくてもきっと観て下さる方々の、その映画に思いというのが膨らんでいくんじゃないかなっていう、そういう意図というかがありまして敢えて昔の映像を使わなかったとか、あとやっぱり仰る通り音っていうのも凄く大事にしました。
映像よりも音の方が凄く人間の生理に訴えるというか、そういう部分もあると思うんで音っていうのを凄く大事にして観終わった後に観て下さった方の心の中に何かこうぽっと灯りがともるような、そういう作品にするように心がけてなるべくいらないものは省いてというような見せ方ができたらなというふうに思って作りました。

MC 監督の次回作の予定は考えてるんでしょうか?
東監督
・次回作はよく聞かれるんですけども、何も考えてないです(笑)
あの何かもちろん撮ると思うんですけども、まだまだこの映画を立派に育てていかなきゃいけないなと思うし、私は今33歳なので60まで映画を作るとしてもあと30年は映画を作れるなあと思うと凄くのんびりしちゃって先の事を全然考えてないんですけども。
きっとまた映画は作ろうと思って作るんじゃなくて、なんかこう作らずにいられないような状況の中で、生れていくと思うのであと何年後かわかりませんけど、また必ずここに映画祭に呼んでいただけるようにがんばって続けていこうと思います。
あのう本当に自主上映でこつこつと上映していただいている映画で5年10年という長い時間をかけて観ていただけたらいいなと思っていますので、もしまたいつかどこかで出会うと思いますので、その時にはまたぜひ足を運んでいただけたらこういう映画あったなあということを、ちょっとでも思い出していただけたらとっても嬉しいです。はい。

MC こちらにパンフレットがあるんですが、栗原さんのアルバムもあり貴重な一級の資料としていいかと思いますので監督、後で買っていただいた方にサインをお願いしてよろしいでしょうか?
東監督
・サイン、欲しい方がいらっしゃれば(笑)

MC 現在オランダの映画祭の中で第二次政界大戦をテーマにしたドキュメンタリー映画が特集で組まれて何本か上映されています。
「ひめゆり」や「特攻」とともに今日は「花の夢」も上映されています。
それで監督はオランダよりも長岡を選んで来ていただいたのでスタッフから感謝の花束を贈呈したいと思いますので受け取って下さい。
どうもありがとうございました。

花の夢(大吉を抱っ..

花の夢 -ある中国残留婦人-

DATE
97分/日本語
英題 “The Women the War Left Behind ”
監督・撮影 東志津
プロデューサー 伊勢真一
語り 余貴美子
出演 栗原貞子
製作 映画「花の夢」制作上映委員会/いせFILM

story
 1944年、18歳の時に「お国のために尽したい」と希望し満州に渡るものの、日本は敗戦。混乱の中、帰国ができず35年もの間、国に棄てられ「中国残留婦人」として生きることを余議なくされた栗原貞子さんの記憶を辿る。
 今は東京のアパートに静かに暮らす栗原さんの元に孫ほどの若い女性監督が訪れ大陸の過酷な生活を聞きだす。中国に根を張り人生を切り開く姿、彼女を支えた中国の夫に尊い命と人間愛が見える感動作。

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2009.01.15 | Trackback(0) | 長岡アジア映画祭

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